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民法151条~200条 ブログトップ
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民法第190条 悪意の占有者による果実の返還等 [民法151条~200条]

民法第190条 悪意の占有者による果実の返還等

1.悪意の占有者は、果実を返還し、かつ、既に消費し、過失によって損傷し、又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う。

2.前項の規定は、暴行若しくは強迫又は隠匿によって占有をしている者について準用する。


解説
1.悪意の占有者とは、占有の権限がないことにつき悪意な占有者のことをいいます。
このような悪意占有者は保護に値しないので、本条は果実収取権を否定し、償還義務を規定しています。

2.強迫又は隠匿による占有者も、悪意占有者と同様に扱われる。

民法第189条 善意の占有者による果実の取得等 [民法151条~200条]

民法第189条 善意の占有者による果実の取得等

1.善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。
2.善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなす。


解説
本権を有しない限り果実の取得権は発生しないが、後に本権者からその返還・償還を請求されるのは酷なので、善意占有者には果実の取得権が認められる。

善意占有者でも、敗訴し得るような本権の訴えがなされた後は、自己の物と思って果実を収取・消費しないはずだから、それ以後は悪意占有者とみなされ返還義務を負う。

民法188条 占有物について行使する権利の適法の推定 [民法151条~200条]

民法188条 占有物について行使する権利の適法の推定

占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。


解説
権利の取得については推定されないため、裁判において所有権を主張するためには立証することが必要となる。

民法第187条 占有の承継 [民法151条~200条]

民法第187条 占有の承継

1.占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。
2.前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。


解説
第1項
民法187条1項は、自己の占有のみ又は前の占有を併せて主張することもできると規定しています。

また、判例は、占有承継が特定承継、包括承継によって、どの時点で占有を承継したのかを分けています。
売買等による特定承継で占有承継を主張する場合は、意思に基づく占有移転が必要としていますが、相続などによる包括承継で占有承継を主張する場合は、占有移転を必要とせず、相続の開始時に承継があったものとしています。

「前主」とは直前の前主に限らず、A⇒B⇒Cと占有が移転してきた場合、現占有者であるCはAからの占有を併せて主張することができます(大判大6.11.8)。


第2項
「所有の意思、平穏、公然、善意」は推定されるはずであるが、先占有者の占有が、その推定が及ばないような容態でなされたり、占有の開始時に過失があったりした場合は占有承継の際にこれらも占有承継人に承継されます。

民法第186条 占有の態様等に関する推定 [民法151条~200条]

民法第186条 占有の態様等に関する推定
1.占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
2.前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。


解説
本条は、推定規定であり、証明責任を予め相手方に転換する法技術を採用している。
第186条1項及び2項もそのような推定規定の一種であり、占有を要件とする法律行為(即時取得や時効取得)が要求する占有の態様に関する要件を緩和し、それを以って、これらの法律要件の成立を容易にする役割を担っている。

判例:民法第186条1項の推定は、無過失まで推定されない。


民法第185条 占有の性質の変更 [民法151条~200条]

民法第185条 占有の性質の変更

権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。


解説
他主占有から、自主占有への転換には、次のどちらかの要件を満たすことを要する。

①自己に占有させた者に対して所有の意思を表示すること。
②「新権原」に基づいてさらに所有の意思を持って占有を始めること。


相続が「新権原」に当たるかにつき、判例は、相続人が占有を相続により承継したばかりでなく、①新たに土地建物を事実上支配することで占有を開始し、②相続人の占有に所有の意思があると認められるとき(公租公課の支払い等)は、被相続人の死亡後、新権原により自主占有をするに至ったものと解されるとした(最判昭46.11.30)。


今日のちょこ
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民法第184条 指図による占有移転 [民法151条~200条]

民法第184条 指図による占有移転
代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾したときは、その第三者は、占有権を取得する。


解説
占有代理人の承諾は必要なく、引渡しを受ける第三者の承諾は必要であることに注意。(民法184条)。

なお、占有の移転先が占有代理人である場合は、指図による占有移転ではなく、簡易の引渡し(民法182条2項)になります。

民法第183条 占有改定 [民法151条~200条]

民法第183条 占有改定

代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。


解説
動産の対抗要件である引渡しの方法。

占有代理人が自分で占有する物を以後本人のために占有するという意思表示をしたときは、本人はこれによって占有権を取得する。

占有改定が、民法192条の即時取得の要件を満たすかどうか問題になるが、判例はこれを否定している(最一小判昭和35年2月11日・民集14巻2号168頁)。

民法第182条 現実の引渡し及び簡易の引渡し [民法151条~200条]

民法第182条 現実の引渡し及び簡易の引渡し

1.占有権の譲渡は、占有物の引渡しによってする。

2.譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる。


解説
1.占有の移転は、譲渡人が譲受人又はその代理人に直接目的物を引き渡すことによってすることができる。
2.占有の移転は、譲受人又はその代理人がすでに占有物を所持している場合、占有移転の合意のみですることができる。
2項は、簡易の引渡しで,たとえば賃貸人が賃貸物の所有権を賃借人に譲渡して引渡すには,賃貸人がいったん賃貸物を取戻したうえ,あらためて現実の引渡しをするような手間を省いて,引渡しを受ける者が現実に占有しているときは,単に当事者の意思表示だけで引渡しがあったものと認められます。



民法第181条 代理占有 [民法151条~200条]

民法第181条 代理占有

占有権は、代理人によって取得することができる。


解説
代理占有とは、代理人が所持をし、これに基づいて本人が占有を取得すること。

代理占有の例として、賃借人・質権者・地上権者などがあります。

代理占有の要件
① 占有代理人が所持を有すること
② 占有代理人が「本人のためにする意思」を有すること
③ 本人と占有代理人との間に占有代理関係が存在すること

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