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民法第100条 本人のためにすることを示さない意思表示 [民法51条~100条]

民法第100条 本人のためにすることを示さない意思表示

代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。
ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第1項の規定を準用する。


解説
本条は「みなし規定」であるため、本条が適用される場合は、たとえ代理人が本人のために意思表示をしていた場合であっても、代理人自らの意思表示として扱われます。

そのため、代理行為(意思)と表示とが一致しないことを理由に、代理人が錯誤無効を主張することはできません。
ただし、意思表示の相手方が、代理人が本人のために意思表示をすることを知り、または知ることができたときは、第99条第1項の規定を準用し、直接本人にその意思表示の効果が帰属します。


本条の例外として、商法には、特別規定があり、顕名がなくとも効果は本人に帰属します。
つまり、商行為の代理行為の場合は、本人のためにすることが示されていなかったとしても、その代理行為の効果は、本人に帰属します。(商法504条)

ただし、意思表示の相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、その相手方は、代理人に対して履行の請求をすることができます。


今日のちょことじじ
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じじのブラッシングを邪魔する ちょこ

民法第99条 代理行為の要件及び効果 [民法51条~100条]

民法第99条 代理行為の要件及び効果

1 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。

2 前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。


解説
本人に効果を帰属させるためには顕名(本人のためにすることを示すこと)が必要になります。
そして、本人のためにすることを示すことを「顕名」といいます。
民法上、顕名があることが、有効な代理行為の要件のひとつです。

このように、代理の要件として顕名を要することを「顕名主義」といいます。

ここでいう「本人のためにすること」とは、本人に法律行為の効果を帰属させることであり、本人の利益のためにおこなうことではなく、代理行為が本人にとって不利益になったとしても、その結果は本人に帰属します。

なお、顕名のない意思表示は、代理人自らの意思表示とみなされます。

また、顕名があっても代理権がない場合は表見代理(109条・112条)ないし無権代理(113条)の問題になり、代理権はあるがその範囲外の行為の場合は権限踰越の表見代理(110条)の問題になります。

民法第98条の2 意思表示の受領能力 [民法51条~100条]

民法第98条の2 意思表示の受領能力

意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者又は成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。
ただし、その法定代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない。

解説
制限行為能力者のうち未成年者・成年被後見人について意思表示の受領能力がないこと、つまり、未成年者・成年被後見人に対して意思表示をしたとしても、表意者はその旨を相手方に主張できないことを定めています。

未成年者や成年被後見人は意思表示を受けてもそれを理解する能力がなく、不利益を被るおそれがあることから、未成年者・成年被後見人を保護するために設けられた規定です。

ただし、法定代理人が知った場合には法定代理人が未成年者や成年被後見人のために適切に対応が出来ることから、表意者は意思表示の効力を主張することができることになります。



逆に未成年者や成年被後見人の側から意思表示をしたことを主張することは差し支えありません。

なお、本項では、制限行為能力者のうち、未成年者と成年被後見人についてのみ規定しています。このため、被保佐人と被補助人に対しては、通常の行為能力者と同じように、意思表示を受領を主張することができます。

被保佐人・被補助人は受領能力があるので、民法第98条の2の対象となっていません。

民法第98条 公示による意思表示② [民法51条~100条]

第98条 公示による意思表示

1 意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。

2 前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法 (平成8年法律第109号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも1回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。

3 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達 したものとみなす。
ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。

4 公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。

5 裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。


第2項の解説
第98条第1項に規定する公示による意思表示は、公示送達に関する民事訴訟法 の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも1回掲載しておこないます。

ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場またはこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができます。

具体的には、民事訴訟法第110条~第113条に規定された方法によって行います。

今日のじじ

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民法第98条 公示による意思表示 [民法51条~100条]

第98条 公示による意思表示

1 意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、
公示の方法によってすることができる。

2 前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法 (平成8年法律第109号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも1回掲載して行う。
ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。

3 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。
ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。

4 公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。

5 裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。


第1項の解説
公示の方法によって意思表示がなされる場合の要件や方式等を定めた規定。

「表意者が相手方を知ることができ」ないときとは、例えば、契約の相手方が死亡した場合に、被相続人が誰なのかがわからないような状態をいいます。

「所在を知ることができないとき」とは、災害が発生した後で、契約の相手方がどこに避難しているのかがわからないような状態をいいます。


実際に、相手がわからない場合は、裁判所の掲示板に、意思表示の内容を掲示されます。

そして、2週間経過すると、その意思表示が相手に到達したことになります。

民法第97条 隔地者に対する意思表示② [民法51条~100条]

民法第97条 隔地者に対する意思表示

1 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。

2 隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。


民法第97条第2項の解説
意思表示を発信した後に死亡したり、行為能力を失った場合であっても、実際に意思表示を発信した時点では有効な意思表示をすることができたことになります。

このため、後に発生した事情(死亡や行為能力の喪失)によって、意思表示の効力が変わることはありません。

到達前の撤回
死亡又は無能力者になった場合を除けば、到達前の撤回は、意思表示を形成しないこととなる。
例えば、使者により伝達をする場合、相手方に到達する前に撤回の意思を使者に対して示せば、意思表示は成立しない。

隔地者間の契約
民法第526条(隔地者間の契約の成立時期) 契約の申出に対する承諾については、その通知を発した時に成立する。
これは、契約を申し出たものは、申出を行なった時点で、契約の成立を期待していることから、一方が承諾を行なった時点で契約を成立させることが合理的であることによる。

民法第97条 隔地者に対する意思表示 [民法51条~100条]

第97条 隔地者に対する意思表示

1 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。

2 隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。


民法第97条第1項の解説

本項は、隔地者に対する意思表示の到達主義について規定しています。

遠隔地にいる者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時点からその効力を発生します。このように、意思表示の到達によって効力が発生することを到達主義といいます。


到達主義
民法においては、本条により「到達」の時点において効力が発生するものとし、「了知」までは不要としている。したがって、相手方に到達したが、相手方が受領を拒否した場合は、相手方はその内容を了知していない可能性はあるが、到達の事実により意思表示は成立する。

本項が適用されるような隔地者に対する意思表示であっても、意思表示により契約が成立する場合、つまり契約の申込みに対する承諾の場合は、例外規定があります。

隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立します(民法第526条第1項)。
このように、意思表示の発信によって効力が発生することを発信主義といいます。




民法第96条 詐欺又は強迫② [民法51条~100条]

第96条(詐欺又は強迫)

1 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

3 前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。


民法第96条第3項の解説

第3項における「善意」は、詐欺があったという事実を知らないことをいいます。
*一般的な善意=道徳的な意味の善悪の善意・悪意とは意味が異なります。

例えば、Aが、Bに騙されて不当に安く車を売ってしまった場合において、Bがまったく事情を知らないC(=第三者)に転売してしまった場合、詐欺による売買契約といえども、民法第96条第3項により、Aは、Cに対し、その売買契約の取消しを主張できません。

第3項における第三者とは、取消しの前に利害関係を有するに至った第三者に限ります。
つまり、取消しの意思表示があった後に利害関係を有するに至った第三者は含まれません。

なお、第3項は、「詐欺による」と規定されているとおり、強迫による意思表示の取消しは適用対象外になります。


民法第96条 詐欺又は強迫 [民法51条~100条]

第96条(詐欺又は強迫)

1 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を
 知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

3 前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。


解説
詐欺の要件
1.相手方を欺き、かつ欺くことによって相手方に一定の意思表示をさせようとする意思があること
2.「欺罔(ぎもう)行為」(故意に事実を隠蔽し、または虚偽の表示をすること)があること
3.騙された者が、欺罔行為によって錯誤となり、その錯誤によって騙した者の望んだ意思表示をすること
4.欺罔行為に違法性があること


強迫の要件
1.相手方を畏怖させ、かつ畏怖させることによって相手方に一定の意思表示をさせようとする意思があること
2.強迫行為があること
3.脅された者が、強迫行為によって畏怖し、その畏怖によって脅した者が望んだ意思表示をすること
4.強迫行為に違法性があること

民法第95条 錯誤(錯誤の効果)④ [民法51条~100条]

錯誤の効果

相対的無効
 法律行為の要素に錯誤がある意思表示は無効である(民法95条本文)。
ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は自らその無効を主張することができない(民法95条但書)。
この但書の「主張」という文言からも錯誤無効の効果は当然に生じるのではなく当事者による主張によって生じるものと解されている。

錯誤の効果は無効であり本来であれば誰しもが主張できるが、錯誤無効は表意者保護を目的とするものであり錯誤無効を主張できる者は原則として表意者に制限される。

表意者に重過失があり無効主張ができないときは相手方・第三者も無効主張できない。
また、表意者に無効を主張する意思がないときは相手方・第三者は無効主張できない。

ただし、例外的に表意者が瑕疵を認めており債権保全の必要がある場合には第三者は錯誤無効を主張しうる(最判昭45・3・26民集24巻3号151頁)。
債権者が債権者代位権を行使できないことになるためであり、表意者が瑕疵を認めている以上は表意者の利益を損ねるものでもないためである。


共通錯誤
当事者双方が錯誤に陥っていた場合を共通錯誤というが、共通錯誤の場合には相手方も錯誤に陥っていたのであり民法95条但書の適用はなく常に無効主張できる。


今日のじじ
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