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婚姻費用分担 [か行]

婚姻費用分担とは?
『婚姻費用』とは,「夫婦と未成熟の子」という家族が,その収入や財産,社会的地位に応じて,通常の社会生活を維持するために必要な生活費のことをいいます。
具体的には,居住費や生活費,子どもの生活費や学費といった費用のことです。

法律上,婚姻費用については,夫婦がその負担能力(収入の大小等)に応じて,分担する義務を負っています。この義務は,別居していても,法律上の夫婦である限りなくなることはありません。そのため,夫婦が別居した際に,妻に比べて収入の高い夫が生活費を払ってくれないような場合は,婚姻費用分担請求をすることができます。

婚姻費用は月額というかたちで決めます。金額については,まず夫婦間で話し合いを行い,それでも決まらない場合は裁判所に対して調停を申し立てます。
もし,調停で決まらない場合は,家庭裁判所が,審判で金額を決定します。
婚姻費用の金額は,夫婦の収入・子どもの人数・それぞれの子の年齢等を総合的に考慮して決められます。

婚姻費用分担請求は,「請求したとき」から認めらます。その為,過去にもらえるはずだった婚姻費用を後になってから婚姻費用分担請求として請求するのは難しくなります。
例外的に請求できる場合もありますが,過去の未払いの婚姻費用は,財産分与を決めていくうえで一事情として考慮されることもあります。
また,夫婦が一緒に暮らしている場合は,婚姻費用分担請求を認める必要がないと考えられますが,夫がその収入を一方的に確保し,片方の配偶者の生活にとって必要な生活費が渡されていないような場合には,同居中でも婚姻費用分担請求が認められることになります。
一般的に,婚姻費用の支払い義務は「請求したとき」からとされていますので,別居後に婚姻費用を払ってくれない場合は,すぐに婚姻費用分担請求をするのがベストです。
最後に、離婚した後は婚姻費用の分担義務がなくなりますので,婚姻費用を請求することはできません。
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持分の放棄及び共有者の死亡 [か行]

(持分の放棄及び共有者の死亡)
第255条共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

本来、相続人不確定により、相続財産は原則として国庫に帰属します。
しかし、共有者の一人について持分の放棄や死亡(相続人不存在)という事由が生じた場合に、その持分はどうなるのかということを規定したのが255条の条文です。

簡単に説明すると、民法255条は、相続人が不存在の場合、共有持分は他の共有者のものになると書いていますが、その共有持分権に担保が設定されていたり、相続債権者への弁済のために換価の必要があったり、あるいは、特別縁故者への分与の必要があるなどといった場合には、民法255条によって直ちに他の共有者に帰属するということにはならず、最後の最後に、相続人不存在が確定し、債権者への弁済も特縁への分与もなく、国庫に帰属するという段階になって初めて共有者に帰属するということになります。

Point 民法255条後段の立法趣旨
相続財産が共有持分の場合に国庫帰属するものとすると国と他の共有者との間に共有関係が生じ不便という点にあることから民法255条が規定されました。
この共有の本質から、民法255条は規定されており、これを共有の弾力性といいます。
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国土調査 [か行]

地籍調査とは、主に市町村が主体となって、一筆(※)ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査です。「地籍」とは、いわば「土地に関する戸籍」のことです。各個人には固有の「戸籍」という情報があり、様々な行政場面で活用されているのと同様に、土地についても「地籍」の情報が行政の様々な場面で活用されています。

我が国では、土地に関する記録は登記所において管理されていますが、土地の位置や形状等を示す情報として登記所に備え付けられている地図や図面は、その半分ほどが明治時代の地租改正時に作られた地図(公図)などをもとにしたものです。そのため登記所に備え付けられている地図や図面は、境界や形状などが現実とは異なっている場合が多くあり、また、登記簿に記載された土地の面積も、正確ではない場合があるのが実態です。

地籍調査が行われることにより、その成果は登記所にも送られ、登記簿の記載が修正され、地図が更新されることになります。また、固定資産税算出の際の基礎情報となるなど、市町村における様々な行政事務の基礎資料として活用されます。

なお、地籍調査は、国土調査法に基づく「国土調査」の1つとして実施されています。

※土地の所有権等を公示するために、人為的に分けた区画のこと。土地は「筆」(ひつ)という単位でカウントされます。登記所では、一筆ごとに登記がなされ、土地取引等の単位となっています。


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検認調書の謄本を遺言執行者の資格を証する書面とすることの可否 [か行]

「検認調書の謄本を遺言執行者の資格を証する書面とすることの可否」
(登記研究578P125)

「自筆証書遺言の原本に代えて、この検認調書の謄本を添付する等の補正の機会を与えて、自筆証書遺言の真正について、形式的審査を行い、登記の受否を判断することができる」
(登記研究585P137)
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原状回復の内容 [か行]

原状回復の内容

借主には、賃貸借契約終了の際、その物件をもとの状態に戻してから、貸主に返還すべき義務があり,これを「原状回復義務」といいます。

しかし、貸主は建物を貸すことで家賃収入を得ていますので、明け渡しのときにすべて新品にして返還されるのであれば、貸主はそれだけ不当に利益を得ることになります。

そこで原則として、「通常使用による損耗」については、修繕費用を請求する権利はないのですが、故意・過失による損耗の回復に限っては請求が可能です。


特約は有効か?

「借主は、故意過失を問わず、建物の毀損・滅失・汚損その他の損害につき損害賠償をしなければならない」という特約がある場合はどうでしょう。
この場合、貸主は「通常生活による損耗」についての修繕費用負担を借主に請求できるのでしょうか。

この点について、最近の裁判例では質問のような特約がある場合でも「ここでいう損害には、賃貸物の通常の使用により生じる損耗は含まれない」と、特約の効力を限定的に解釈したり(名古屋地裁/平成2年10月19日判決)、特約自体の有効性を否定したりしています。


つまり、「通常生活による損耗」は、やはり貸主が負担すべきとする傾向にあります。

そのため、特約があっても、原則として「通常生活による損耗」について借主側が修繕する必要はないと考えられます。

したがって、借主が普通に生活をしている限りクロスやカーペットを新品にしての返還請求をすることはできません。


判例の流れ

① 特約の必要性があり、暴利的でないという客観的で合理的な理由が存在すること
② 通常の原状回復義務を超えた修繕義務を負うことを借主が特約から認識していること
③ 借主が特約による義務を負担すると意思表示をしている

以上の3つの要件が必要であるとしています(伏見簡裁/平成7年7月18日判決)。


これらを一つずつ具体的に見ていくと、以下のようなことが必要になります。

①では、物件が周辺の家賃相場と比べて明らかに安いため修繕費用くらいは借主に負担してもらう必要があること、また、修繕の範囲や費用が妥当で、特に暴利的ではないこと。

②では、「通常使用による損耗」の修繕費用は借主が負担する必要はないという原則があるが、この契約では例外的に負担することになっている、と契約者本人に理解させること。

③では、将来借主の負担を予想させる修繕費用がどの程度になるのか、工事項目、工事内容、工事項目ごとの概算費用を具体的に明示しておくこと。

もし、このうちのどれかが欠ければ、貸主は借主に「通常使用による損耗」の修繕費を請求できなくなります。
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工場財団 [か行]

工場財団とは、工場に属する不動産、動産あるいは無体財産権など工場設備一式を法律上1個の不動産として登記するもので、この登記をした財団を対象として、抵当権を設定をします(6か月間抵当権の設定がないことは財団の消滅原因とされています)。

 この制度ができた背景には、金融機関から融資を受けるにあたり、個々の機械や建物をバラバラに評価するよりも、これらを直ぐにでも操業できる一体のものとして評価する方が、担保としての価値が高くなるという事情があります。

 したがって、工場財団は所有権および抵当権の対象とすることができるにとどまり、他の民法上の物権の対象とすることはできませんが(抵当権者の同意を得れば賃借権の対象とすることは可能)、工場財団について売買や相続・合併があれば権利は移転し、また、工場財団について差押え、仮差押え又は仮処分の申立て又は申請をすることは何ら妨げられません。


処分の制限
 工場財団の組成物件として登記されたものについては、財団の単一性保持のため、個別にこれを処分することが制限されます。
例えば、登記・登録された物件については、個々の物権の登記簿や登録原簿に、当該物件が工場財団に属した旨が職権で記載され、以後はこれを譲渡したり、又は所有権以外の権利や差押え、仮差押えもしくは仮処分の目的とすることが禁止されることになります。

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婚約 [か行]

婚約とは、将来婚姻することについての男女間の契約をいいます。

ドイツ民法には詳細な規定がありますが、我が国の民法には何ら詳細な記述がなく、有効な契約となっています。

婚姻は性の終生に渡る独占提供を核とする契約関係であるで、これに反する内容の婚約は無効です。

反面、婚約の成立を盾にする婚姻締結の訴えの提起は許されませんし、婚姻締結を履行しない場合の違約罰を婚約の条件としても、その条件は無効となります(ドイツ民法は、これらの点について同旨の規定を置いています)。

婚約の本質は婚姻の予約ですが、我が国の判例は内縁関係にある者の関係を婚姻予約の語句をもって示し内縁の不当破棄に救済を付与してきました。

内縁の不当破棄救済は正当な措置ですが、内縁関係を婚姻予約とする規定は正しくありません。

口頭での婚約も有効です。

正当な理由のない婚約の破棄は不法行為を成立させますし、損害賠償・慰謝料の支払義務を生じさせます(婚約の不当破棄は不法行為ではなく、債務不履行となるという学説もあります)。
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競業避止義務 [か行]

競業避止義務
これは、取締役が自己または第三者のために会社の事業の部類に属する取引を行ってはならないという義務をいう。

例えば、製造業を営む会社の取締役が、同じく自らの名義で同じ製造業を行うことは許されません。
これは、取締役の行為により、会社の企業秘密やノウハウなどを自己のために利用してしまうことを防止する趣旨から設けられています。

取締役は、事業に関する技術やノウハウ、顧客情報等を把握して意思決定する立場にあるため、取締役が会社の事業と同じ業種の事業をするときには、会社の情報を利用する可能性が大きい。

会社の情報はその会社に帰属しており、取締役がそれを自身や第三者のために利用することはあってはならない。

そこで、取締役が競業取引を行うことに規制をかけ、競業取引を行う場合には、会社に承認されなければならないとされています。

なお、競業の範囲となるのは、「会社の事業の部類に属する取引」とされており、会社が行っているビジネスと実際に競合する取引をいいます。

これは、会社が取り扱っている事業を同じ地域で行うことにとどまらず、判例ではその商品の原材料を購入する取引であっても競業になるとされている。

取締役が同種の別会社の取締役等に就任することは、「取引」ではないため、それ自体は規制されない。しかし、競合会社の取締役等に就任した後に、当該競合会社のために競業取引を行う場合には、規制の対象になる。

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家族信託 [か行]

「家族信託」とは、『財産管理の一手法』です。

資産を持つ方が、特定の目的(例えば「自分の老後の生活・介護等に必要な資金の管理及び給付」等)に従って、その保有する不動産・預貯金等の資産を信頼できる家族に託し、その管理・処分を任せる仕組みです。

また、家族・親族に管理を託すので、高額な報酬は発生しません。

したがって、資産家のためのものでなく、誰にでも気軽に利用できる仕組みです

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混同 [か行]

民法179条の「物権混同」と、民法520条の「債権混同」では何がどう違うのでしょうか。

大きな違いは、債権債務につき混同が生じた場合を「債権混同」、単に同一物についての所有権と他の権利が同一人に帰属した場合を「物権混同」と言います。


例えば、Aの不動産に1番抵当権者B(債務者X)、2番抵当権者Cがいる場合において、AからBに所有権が移転すると、所有権と抵当権という二つの物権が同一人に帰属するため、「物権混同」となります。

しかし、この場合には2番抵当権があるため、物権混同の例外として、当該1番抵当権は消滅しません。

一方、債務者Xが死亡し唯一の相続人がBであった場合には、債権者と債務者が同一人となるため、「債権混同」となります。

この場合は債権そのものが消滅する以上、物権混同と異なり、2番抵当権があっても当該抵当権は付従性により消滅することとなります。

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