相続で相続人がいない場合の法律相談。
この場合、どのような法律手続きになるでしょうか?パート⑤
失踪宣告取り消しの効果2
①失踪宣告取り消しと財産行為
失踪宣告によって財産を得た者については失踪宣告の取消によって権利を失いますが、現存利益(=まだ残っている範囲)で返還すれば足ります(民法32条2項)。
通説は32条2項により現存利益の限度で返還すれば足りるのは失踪宣告が事実と異なることについて知らない者(善意の者)のみであるとし、失踪宣告が事実と異なることを知っている者(悪意の者)については悪意の受益者として704条の規定に従うとする。
受益者が即時取得や時効取得といった他の権利取得の要件を満たしているときには返還義務はありません。
なお、通説は財産行為の最初の両当事者が善意であれば、以後の転得者は悪意であっても有効に所有権を取得できると解します(絶対的構成)。
②失踪宣告の取消しと身分行為
通説は32条1項後段は身分行為にも適用があるとし、失踪宣告を受けた者の配偶者であった者が再婚した後に失踪宣告が取り消された場合、後婚の当事者の双方が失踪宣告を受けた者の生存について善意であった場合には後婚は前婚に優先すると解する。一方、後婚の当事者のうち一方または双方が失踪宣告を受けた者の生存について悪意であった場合、前婚が復活して前婚と後婚との重婚状態となり、前婚については離婚原因(770条)を生じ、後婚については取消原因(732条・744条)を生じると解する。なお、身分行為については32条1項後段の適用を否定すべきとする有力説がある。
③ 失踪宣告の取消しと相続
通説は失踪宣告に基づいて相続がなされ、相続財産が譲渡された場合は、その譲渡の両当事者が失踪宣告を受けた者の生存について善意でない限り、失踪宣告を受けた者は当該相続財産を取り戻すことができるものと解する。また、譲渡財産の転得者が悪意であっても、最初の譲渡の両当事者が善意であれば、悪意の転得者は有効に所有権を取得できると解する(絶対的構成)。なお、当該相続財産が動産である場合には、即時取得が適用される場合がある。
失踪宣告の法律用語集
今日のちょこ

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