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民法151条~200条 ブログトップ
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民法第200条 占有回収の訴え [民法151条~200条]

民法第200条 占有回収の訴え
1.占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
2.占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。

解説
占有者とは、直接占有者と、賃貸人のような間接占有者が含まれます。
本条は、詐取された場合や遺失した場合は占有回収の訴えは認められない(大判大11.11.27)。

本条は、悪意の特定承継人に対しては提起できるが(2項ただし書)、いったん善意の特定承継人の占有に帰すれば、その後の特定承継人が悪意であっても、その者に対し行使することはできない(大判昭13.12.26)。


民法第199条 占有保全の訴え [民法151条~200条]

民法第199条 占有保全の訴え

占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。


解説
予防を請求するだけでなく、その損害賠償を請求する場合に備えて担保を提供するように請求することもできます。

妨害の予防請求と損害賠償の担保請求とは、選択的であり、いずれか一方しか請求することができない。大判昭9.10.19)。

民法第198条 占有保持の訴え [民法151条~200条]

民法第198条 占有保持の訴え

占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。


解説
占有保全の訴えによる妨害停止請求には、相手の故意・過失があることは要件とならない。
占有回収の訴えは、物の返還、損害賠償が請求できる。

妨害停止の請求は妨害がある間に、また損害賠償の請求は妨害の消滅後1年以内に提起する必要がある(同条1項本文)。
本条の損害賠償請求は、不法行為に基づく損害賠償請求であると解されている。
したがって、不法行為の一般原則に従い、妨害者に故意・過失がある場合に限り、損害賠償請求をなし得る(大判昭9.10.19)。

占有を侵奪した者の「特定継承人」に対して占有回収の訴えを提起することはできない。
ただし、継承人が侵奪の事実を知っていたときは提起できる。

民法第197条 占有の訴え [民法151条~200条]

民法第197条 占有の訴え

占有者は、次条から第202条までの規定に従い、占有の訴えを提起することができる。
他人のために占有をする者も、同様とする。


解説
占有訴権については、占有という事実状態の保護を目的とするから、占有者の善意・悪意で区別されない。悪意占有者であっても提起できる(大判大13.5.22)。

つまり、所有権など占有を正当化する権利(本権)による訴えとは別個に提起され、本権の有無に関わりなく判断される。

民法第196条 占有者による費用の償還請求 [民法151条~200条]

民法第196条 占有者による費用の償還請求

1.占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。

2.占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。
ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。


解説
民法196条1項は、善意・悪意問わず、占有者が必要費を負担した場合に、回復者から償還してもらえることを規定しています。
ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担になります。


民法196条2項
有益費は、必要費と違い必ず支出される費用ではないので、返還請求は、常には認められない。
ただし書きは、悪意の占有者が故意に多額の有益費を支出して償還請求し、回復者の無資力に乗じての留置権の行使を防ぐためです。

民法第195条 動物の占有による権利の取得 [民法151条~200条]

民法第195条 動物の占有による権利の取得

家畜以外の動物で他人が飼育していたものを占有する者は、その占有の開始の時に善意であり、かつ、その動物が飼主の占有を離れた時から一箇月以内に飼主から回復の請求を受けなかったときは、その動物について行使する権利を取得する。


解説
家畜以外の動物、例えば、飼い犬や飼い猫など、それらの動物を善意で占有している人が飼い主から一カ月以内に返還請求を受けなかった場合、権利を取得することができる規定です。
いわば、動物の即時取得のようなものが成立するという規定です。

民法第194条 盗品又は遺失物の回復 [民法151条~200条]

民法第194条 盗品又は遺失物の回復

占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。


解説
本条の「買い受けたとき」とは、売買により取得した場合であり、贈与によって取得した場合は、回復者は無償で回復することができる。

最判平12.6.27の要旨
 盗品の被害者が盗品等の占有者に対してその物の回復を求めたのに対し、占有者が194条に基づき、支払った代価の弁償があるまで盗品等の引渡しを拒むことができる場合には、占有者は、弁償の提供があるまで盗品等の使用収益を行う権限を有する。また、被害者が代価を弁償して盗品を回復することを選択してその物の引渡しを受けたときには、占有者は、その物の返還後においても、194条に基づき代価の弁償を請求できる。

民法第193条 盗品又は遺失物の回復 [民法151条~200条]

民法第193条 盗品又は遺失物の回復
前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。


解説
目的物が「盗品又は遺失物」の場合に限ら、詐欺・恐喝・横領などの場合には適用されない。

回復請求の期間は、盗難又は遺失のときであって、相手方が占有を始めた時ではない。


民法第192条 即時取得 [民法151条~200条]

民法第192条 即時取得

取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。


解説
本条は、動産の占有に公信力を与えて、動産の取引に入った者を保護し、取引の安全を図ろうとするのが、即時制度の趣旨である。

そのため、即時取得を主張するためには、その動産の占有を売買などの取引行為によって平穏かつ公然に取得していなければならない。

また、その動産を所持していた者が真の権利者では無かったということについて善意で、かつ知らないことについて無過失であることも要求される。

即時取得の要件
1.対象が動産であること
2.前主が無権利者であること
3.取引行為により占有を承継したこと
4.占有を開始したこと
5.占有開始の際、平穏かつ公然の占有で、前主が無権利であることについて取得者が善意・無過失であること

民法第191条 占有者による損害賠償 [民法151条~200条]

民法第191条 占有者による損害賠償

占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときは、その回復者に対し、悪意の占有者はその損害の全部の賠償をする義務を負い、善意の占有者はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う。
ただし、所有の意思のない占有者は、善意であるときであっても、全部の賠償をしなければならない。


解説
本条の「占有者」とは、回復者との関係で占有についての法律関係を有さない者をいう。
そのため、占有者が、「善意の占有者」であろうと、「悪意の占有者」であろうと、損害賠償義務はあります。その賠償すべき範囲が、同条本文により、「損害の全部の賠償」か、「現に利益を受けている限度」かの相違を生じています。

本条の「滅失し、又は損傷した」とは、単に物理的な滅失・損傷に限らず、紛失や第三者に売却されて返還が不能になった場合も含む(大判大11.9.19)。

但し、「責めに帰すべき事由」がある占有者が、「所有の意思が無い事を知っている占有者」であるのであれば、本条但書により当該占有物の滅失・損傷によって生じた損害の「全部」を、回復者に対して賠償しなければなりません。
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