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民法51条~100条 ブログトップ
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民法第95条 錯誤③ [民法51条~100条]

錯誤の態様

錯誤は表示行為の錯誤と動機の錯誤に分けられる。

1.表示行為の錯誤とは?
  意思決定から表示行為に至る過程において錯誤が生じることを表示行為の錯誤といい、
  表示行為の錯誤には

  ①表示上の錯誤 と ②内容の錯誤がある。

  ①表示上の錯誤
   表示上の錯誤とは、言い間違いや書き間違いのことにより錯誤が発生する。
   例えば、契約書の購入代金が一桁書き間違いをした場合などが表示上の錯誤にあたる。

  ②内容の錯誤
   内容の錯誤とは表示行為の意義についての誤りにより発生する。
   例えば、契約書の購入代金の欄に「100ドル」と書くべきだったのに1ドルと1ポンドは
同じ価値だと誤信していたため「100ポンド」と書いてしまった場合が内容の錯誤にあたる。


2.動機の錯誤とは?

  意思表示そのものではなく動機から効果意思(内心的効果意思)に至る過程において、
錯誤が生じることを「動機の錯誤」あるいは「縁由の錯誤」という。
  
  動機の錯誤と民法95条の錯誤の関係については、
  ① 動機錯誤否定説(動機排除説)
  ② 動機表示錯誤説(動機表示必要説)
  ③ 一元的構成説(動機表示不要説)がある。

民法第95条 錯誤(要素の錯誤)② [民法51条~100条]

(錯誤)
民法第95条
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。


要素の錯誤
民法95条は錯誤無効の要件として「法律行為の要素に錯誤があったとき」と規定しており、要素の錯誤であることを要するとしている(民法95条本文)。

要素の錯誤とは具体的には錯誤がなければ法律行為をしなかったであろうと考えられる場合で(因果関係の側面)、かつ、取引通念に照らして錯誤がなければ意思表示をしなかったであろう場合(重要性の側面)を指します。

要素の錯誤は法律行為ごとに個別具体的に判断されますが、
①人についての錯誤(意思表示の相手方そのものの錯誤(人違い)
②人の身分や資産についての錯誤)
③目的についての錯誤(取引の目的の同一性・性状・来歴に関する錯誤)
④法律・法律状態についての錯誤

などに類型化して分析されます。


表意者の無重過失
民法95条は表意者が錯誤無効を主張する要件として表意者に重大な過失がないことを要するとしている(民法95条但書)。
そのため、表意者に重過失があるときにはそもそも錯誤は成立しない。


重大な過失がある場合(民法95条但書)と相手方の悪意・重過失

民法第95条但し書きは、表意者に重大な過失がある場合、すなわち錯誤に陥ったことについて著しく注意義務を欠いていた場合には、表意者は錯誤無効の主張はできないと定め、相手方の犠牲のもとで表意者を保護する必要がないとしています。

*表意者の重大な過失の立証責任は相手方にあります。

なお、表意者の意思表示の錯誤について相手方が知っていた場合(悪意)には、相手方を保護する必要はなく民法95条但書の適用はありません。


民法第95条 錯誤 [民法51条~100条]

民法第95条 錯誤

意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。
ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

解説
意思表示と内心の意思が一致しなかった場合、その意思表示は、無効とになります。
ただし、意思表示をおこなった者に重大な過失があったときは、その者は、自らその無効を主張することができません。

つまり、勘違いによる意思表示は、よほどのミス(重過失)がない限り、無効となります。


民法第94条2項の類推適用 ④ [民法51条~100条]

本人が相手方と通じて、虚偽の意思表示をすることを虚偽表示といい、民法では虚偽表示に
もとづく法律行為を原則として無効としている(民法第94条第1項)。

それと同時に、民法第94条第2項では、このような虚偽表示にもとづく法律行為の無効は、
善意の(=事情を知らない)第三者に対しては主張することができないものとされている。

このように、相手方との通謀(つうぼう)でなされた虚偽の意思表示は原則として無効であるが、実際には相手方との「通謀」が存在するとはいえないような事例も多く見られる。

判例では、このような通謀性に欠けるケースであっても、できるだけ94条を類推適用し、善意(かつ無過失)の第三者を保護しようとしている。



1.本人Aが相手方Bの承諾なく、AB間の売買を仮装した場合
 本人Aが相手方Bに知らせないまま、仮装の土地売買契約を行ない、それをもとに土地の登記名義をBに移転したところ、後からこれを知ったBが登記名義を利用して、その土地を第三者Cに売却したという場合。

この場合、本来ならば通謀がないので民法94条は適用できないが、判例では、仮装の登記名義を作り出したAに責任があり、事情を知らない(=善意の)第三者であるCがその登記名義を信頼したことを保護する必要があるので、第94条第2項を類推適用し、AはCに対してAB間の土地売買契約の無効を主張できないとした(なおこの場合、Cは信じたことについて無過失であることまでは要求されない)。

2.本人Aと相手方Bが仮装の仮登記をしていたところ、相手方Bが本人の承諾を得ないまま仮登記を本登記にあらため、Bが登記名義を取得してしまった場合

これはAB間で「仮登記」については通謀があったが、本登記についてはBが勝手に行なったというケースである。

このようなケースについて判例では、虚偽の本登記を作り出すことについて、本人Aはその基礎となる仮登記の作出について責任があることを重視し、Aは、善意かつ無過失のCに対して、AB間売買契約の無効を主張できないとしている。
(なおこの場合に、Bがあたかも与えられた権限を超えた代理人のように行動していることから、判例では民法第110条(権限踰越の表見代理)の趣旨も加えてこのような結論に至ったとしている(昭和43年10月17日最高裁判決))


民法第94条 虚偽表示③ [民法51条~100条]

虚偽表示の適用範囲

単独行為
94条は相手方のある単独行為にも適用がある。(最判昭31・12・28民集10巻12号1613頁)

身分行為
身分行為についても虚偽表示は無効とすべきであるが、2項の適用はない。
(通説・判例。大判大11・2・25民集1巻69頁)
2項を適用すると婚姻や養子縁組が当事者間では存続するが一部の者に対しては解消されるという不当な結果になるためである。

会社法上の特則
会社法は設立時発行株式及び募集株式の引受けについては法的安定性を確保するため民法の一般原則を変更している。
株式の引受けの意思表示については94条1項の適用はないものとされている。
(会社法51条1項・会社法211条)

民法第94条2項 虚偽表示② [民法51条~100条]

民法94条2項の解説

通謀虚偽表示の無効は善意の第三者には対抗できないと規定する。
したがって、94条1項の意思表示は、当事者間及び第三者との関係では無効だが、善意の第三者との関係では有効であるとみなされることになる。

例えば、AとBが通謀してA所有の車をBに売却し、車検証の変更手続きも済ませたとします。
この売買契約はAB間では無効である(94条1項)。

しかし、Bが事情を知らないCにこの車をさらに転売した場合、Aは、AB間の売買契約が無効であることをCに対して主張できない。

これをCの側から見ると、AB間では無効であるはずの売買契約が、善意のCにとっては有効であるとみなされ、A→B→Cという物権変動が生じることになる。

つまり、AもBも、Cに対してはA→Bの物権変動の無効を主張できない、というのが、94条2項の意味です。


第三者とは?

本条の「第三者」は、「当事者以外のすべての者」であるということになるが、民法第94条2項の趣旨が真の所有者の犠牲において虚偽の外観を信頼した者を保護する点にあるため、「第三者」の範囲は限定的に解釈されています。

典型的には、上記の例でいうCのように、仮装売買の目的物の転得者が「第三者」であるとされる。

悪意の第三者からの善意の転得者も、「善意の第三者」になる。

例えば、AB間に虚偽の売買があり、Bから目的物を譲渡されたCが悪意だとしても、Cからさらに目的物を譲渡されたDが、善意であればDは保護されます。


善意とは?

本条での「善意」とは、虚偽表示を知らないことである。
「善意」の立証責任は虚偽表示による無効を争う者が負う。
しかし、有力説は無過失を要求する。この説は、信頼した外観の存在を第三者が証明すれば無過失が推定される(事実上の推定)とする。

今日の ちょことじじ
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民法第94条 虚偽表示 [民法51条~100条]

第94条 虚偽表示

1 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。

2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。


解説
本項は、虚偽表示があった場合の第三者の保護について規定しています。

前項(第94条第1項)の規定による意思表示の無効は、その意思表示が虚偽表示だという事情を知らない第三者に対して、主張することができません。

つまり、善意の第三者との関係では、例え虚偽の意思表示であったとしても、有効となります。

民法第93条 心裡留保③ [民法51条~100条]

心裡留保の定義
効果意思(真意)表示行為となるのが、「意思の欠缺」で、心裡留保は、

1 表示行為に対応する真意がないのを知りながらする意思表示
2 表示行為が表意者の真意と異なる意味で解釈・理解されるのを知りながらする意思表示


ほかの意思の欠缺との違い
 錯誤では、「表示行為と真意が不一致なのに、表意者が知らない」
 通謀虚偽表示では、「表示行為に対応する真意がないのを知りながら相手方と通謀してする意思表示」

つまり「相手方との通謀」という点で、心裡留保と異なっています。

◆心裡留保は原則有効
 相手方が善意かつ無過失→有効(93条)
 相手方が悪意―――――→無効(93条但し書)      
 相手方が有過失――――→無効(93条但し書)

◆心裡留保が「有効」になる場合(93条)
 A(心裡留保)―B(善意・無過失)
 相手方がその事情を知らず(善意)かつ、その知らないことが社会通念上やむを得ない(無過失)場合

相手方の利益を保護するために有効。
 ただし、婚姻や養子縁組のような当事者の真意が尊重されるべきなので、身分上の行為には適用されません。


◆心裡留保が「無効」になる場合(93条但し書)
 A(心裡留保)―B(悪意・有過失)
 相手方がその事情を知っていたり(悪意)または、その事情を知らなかったとしても過失がある場合

 相手方を保護する必要もなく、表意者に内心の効果意思もないため、無効。


民法第93条 心裡留保② [民法51条~100条]

民法第93条 心裡留保規定の適用範囲

1 単独行為 相手方のある単独行為(解除や取消し等)へは問題なく適用される。
2 相手方のない単独行為(認知や遺言等)は、真意のない表示も有効である。
3 合同行為 相手方のない合同行為にも適用されるとする。
(会社設立の際の定款作成についてS7.4.19)
4 身分行為 婚姻や縁組のような身分行為には適用されない。(当事者の意思を尊重すべき)
5 準法律行為 個別に判断されるべきである。

民法第93条 心裡留保 [民法51条~100条]

第93条 心裡留保

意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。


解説
Aが、Bに対して、冗談やウソで、車を1万円で売るというような、本当の意思(真意)ではない意思表示をした場合は、その意思表示は、真意ではないにもかかわらず有効となります。

このため、冗談であろうとウソであろうと、いったん意思表示をした以上は、その意思表示には法的に責任を持たなければなりません。


*心裡留保の但し書き規定

ただし、意思表示の相手方Bが、Aの意思表示が冗談やウソであること、真意によらないものだということを知っていたか、または知ることができた場合は、その意思表示は無効となります。


*善意の第三者への心裡留保無効の主張

心裡留保の但書きによる「無効」を、善意の第三者に主張することができるかについては、条文がないので問題となるが、後にみる94条2項を類推適用して、第三者には主張できないとするのが通説です。

Aが冗談でBに「この車、1万円で売るよ」などといい、BはAが冗談をいっていると知りながら(悪意で)承諾して、さらにその車を、それらの事情を知らない(善意の)Cに売却した場合、AはCにたいして無効を主張して車を取り戻せるか?

民法93条に規定はないが通謀虚偽表示についての「94条2項を類推適用」によって無効の主張は許されない。

通説では、第三者の過失の有無も問わないとしています。



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