民法第398条の8 根抵当権者又は債務者の相続
元本の確定前に根抵当権者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債権のほか、相続人と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に取得する債権を担保する。
元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。
第398条の4第2項の規定は、前二項の合意をする場合について準用する。
第1項及び第2項の合意について相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。
解説
根抵当権者の場合
根抵当権者の相続人が、当該債権を根抵当権付で承継する。
根抵当権者の相続人が、債務者に対して債権を取得しても、当然には根抵当権によって担保されず、相続人が取得する債権を根抵当権によって担保するには、相続人全員と根抵当権設定者との合意で相続人の中から「指定根抵当権者」を定めなければならない。
合意をするに際し、後順位抵当権者その他の第三者の承諾は不要。
*相続人が1人の場合でも省略することはできない。
指定根抵当権者が定められると、「相続開始後」に指定根抵当権者が取得した債権も根抵当権によって担保されることになる。
相続開始後6か月以内に指定根抵当権者の合意の登記をしなければならないため、指定根抵当権者を定めなかった場合、また、定めたが相続開始後6か月以内に合意の登記をしなかった場合、「相続開始の時」に元本は確定したものとみなされる。
債務者の場合
債務者の相続人が、債務を当然に承継する。
根抵当権者が債務者の相続人に対して債権を取得しても、当然には根抵当権によって担保されないため、根抵当権者が債務者の相続人に対して取得する債権を根抵当権によって担保するには、根抵当権者と根抵当権設定者との合意で債務者の相続人の中から「指定債務者」を定めなければならない。
合意をするに際し、後順位抵当権者その他の第三者の承諾は不要。
*相続人が1人の場合でも省略することはできない。
指定債務者が定められると、「相続開始後」に根抵当権者が指定債務者に対して取得した債権も根抵当権によって担保されることになる。
相続開始後6か月以内に指定債務者の合意の登記をしなければならない。
指定債務者を定めなかった場合、定めたが相続開始後6か月以内に合意の登記をしなかった場合、「相続開始の時」に元本は確定したものとみなされる。