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遺言執行者の選任 [遺言]

遺言執行者の選任

遺言によって遺言を執行する人が指定されていないとき又は遺言執行者がなくなったときは,

家庭裁判所は,申立てにより,遺言執行者を選任することができます。

遺言執行者とは,遺言の内容を実現する者のことです。


1.申立人

利害関係人(相続人,遺言者の債権者,遺贈を受けた者など)


2.申立先

遺言者の最後の住所地の家庭裁判所

管轄裁判所を調べたい方はこちら


3. 申立てに必要な費用

執行の対象となる遺言書1通につき収入印紙800円分

連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所で確認してください。)

4. 申立てに必要な書類

 (1) 申立書

 (2) 標準的な申立添付書類

  ・遺言者の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
  (申立先の家庭裁判所に遺言書の検認事件の事件記録が保存されている場合(検認から5年間保   存)は添付不要)

  ・遺言執行者候補者の住民票又は戸籍附票

  ・遺言書写し又は遺言書の検認調書謄本の写し
  (申立先の家庭裁判所に遺言書の検認事件の事件記録が保存されている場合(検認から5年間保   存)は添付不要)

  ・利害関係を証する資料(親族の場合,戸籍謄本(全部事項証明書)等)


今日の???
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この後、階段を下りていきました。
痛くないんでしょうか?

特定遺贈と農地法 [遺言]

特定遺贈と農地法に関する法律相談

先例は,特定遺贈について,受遺者が相続人であっても,農地法の許可を要し,農地法の許可を

証する情報の提供を要するとしていましたが(昭43.3.2民事三170号,昭52.12.27民三6278号),

農地法施行規則15条5号の改正により,「相続人に対する特定遺贈」が加えられたため,

以下の取扱いに変わりました。


相続人を受遺者とする農地又は採草放牧地の特定遺贈による所有権の移転の登記については,

添付情報として,農業委員会の許可を受けたことを証する情報の提供を要せず,

登記原因の日付は,民法985条の規定により当該特定遺贈の効力が

生じた日となる(平24.12.14民二3486号)。


なお、受遺者が相続人でない場合は、従来通り、農地法の許可が必要になります。

また、包括遺贈の場合、受遺者が相続人または相続人でなくても農地法の許可は必要ありません。


今日のちょこ
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包括遺贈と特定遺贈 [遺言]

遺贈とは?

通常の相続は、相続人が相続財産の全てを受け継ぐのに対し、遺贈は遺言によって遺産の全部又は、一部を無償あるいは、一定の負担を付して相続人や相続人以外の者に受け継ぐことをいいます。

この遺贈を受ける者を受遺者と言います。

遺贈を受ける者(受遺者)は、法定相続人である必要はないため、遺言者に「この人に財産を与え
たい」と思う意中の相手がいれば、個人・法人を問わず、その相手方に対して自由に自分の財産
を譲り渡すことが出来ます。

そして、遺贈は被相続人の遺言によって効力を生じます。
ただし、相続人それぞれの遺留分に関する規定に違反して遺贈することはできません。
また、遺言者より先に受遺者が亡くなっていた場合は、その受遺者への遺贈は無効となります。

ここの点は相続と違って、たとえ受遺者に相続人がいたとしても、その相続人へ遺贈されることはありません。


遺贈には 『包括遺贈』 と 『特定遺贈』 の2種類があります。

(1)包括遺贈

包括遺贈とは「相続財産をAに遺贈する。」といった感じで相続財産の全部又は、一定の割合で指定して行なう遺贈のことをいいます。

この場合は、実質的には相続人と同一の権利義務を負うこととなり、もし遺贈者に借金などのマイナス財産があれば、遺贈された割合に従ったマイナスの財産も引き受けなければなりません。

(2)特定遺贈

特定遺贈とは「〇〇番地の土地をBに遺贈する。」といった感じで、遺贈する財産を指定して行なう遺贈のことをいいます。

特定遺贈は包括遺贈とは違い、特に遺言で指定をされていなければ遺贈者の借金などのマイナス財産を引き継ぐことはありません。


遺贈の放棄

(受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告)
第987条
遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう。以下この節において同じ。)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。


相続放棄と同様に遺言により受遺者として指定された者には、遺贈を放棄することができます。
遺贈の放棄方法は、包括遺贈と特定遺贈とでは異なっていて、原則、遺言者が亡くなった日から3ヶ月以内に家庭裁判所に包括遺贈の放棄の申述をします。これは相続放棄の場合と同じです。
そして、3ヶ月の期間内に遺贈の放棄の申述をしないと遺贈を受けると承認したものとみなされます。


特定遺贈は包括遺贈の場合と違い、期限について法律の定めがないのでいつでも放棄することができます。ただし、いつまでもはっきりしないと、相続人などの関係者はいつまでも遺産分割ができず困ってしまいます。

そこで、相続人等の利害関係者は受遺者に対して特定遺贈を承認するのか放棄するのかはっきりするように確認の催告をすることが可能です。

そして、受遺者が決められた期間内に回答しない場合は、承認したものとみなされます。

今日のじじ
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遺言書の検認 Q&A [遺言]

遺言書の検認に関する法律相談で聞かれるものをピックアップしてみました。

Q1. 相続人に,検認手続が行われることを通知するのでしょうか。
  また,相続人のなかに出頭できない人がいる場合,問題ありませんか。

A1. 相続人には,申立後,裁判所から検認期日(検認を行う日)の通知をします。
  申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは,各人の判断に任されており,
  全員がそろわなくても検認手続は行われます。



Q2. 検認期日に持参するものは?

A2. 申立人は,遺言書,申立人の印鑑,そのほか担当者から指示されたものを持参します。



Q3. 検認期日には,どのようなことを行うのですか。

A3. 申立人から遺言書を提出し,出席した相続人などの立会のもと,封筒を開封し,遺言書を
  検認します。



Q4. 検認終了後の手続き

A4. 遺言の執行をするためには,遺言書に検認済証明書が付いていることが必要になります。
  その為、 検認済証明書の申請をする必要があります。
 (遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となります。)


今日の???
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身近に、こういう、おじさん いませんか?

遺言書の検認手続き [遺言]

遺言書の検認手続きとは?

遺言書の検認の法律用語集はこちら


1. 概要
 遺言書(公正証書による遺言を除く。)の保管者又はこれを発見した相続人は,遺言者の死亡を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,その「検認」を請求しなければなりません。

また,封印のある遺言書は,家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。

 検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。


2. 申立人
 •遺言書の保管者
 •遺言書を発見した相続人


3. 申立先
 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
 

4. 申立てに必要な費用
 •遺言書(封書の場合は封書)1通につき収入印紙800円分
 •連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。なお,各裁判所のウェブ
  サイトの「裁判手続を利用する方へ」中に掲載されている場合もあります。)

5. 申立てに必要な書類

(1)申立書(各裁判所のウェブサイトの「裁判手続を利用する方へ」中に掲載されている場合も
  あります。)

(2)標準的な添付書類
 1. 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
 2. 相続人全員の戸籍謄本
 3. 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその
  代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本


【相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合】
 4. 遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合,
  父母と祖父))で死亡している方がいらっしゃる場合,その直系尊属の死亡の記載のある戸籍
 (除籍,改製原戸籍)謄本


【相続人が不存在の場合,遺言者の配偶者のみの場合,又は遺言者の(配偶者と)の兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合】
 5. 遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

 6. 遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

 7. 遺言者の兄弟姉妹に死亡している方がいらっしゃる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時
  までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

 8. 代襲者としてのおいめいに死亡している方がいらっしゃる場合,そのおい又はめいの死亡の
  記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本


今日のちょこ
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遺言書の検認 [遺言]

こんにちは、ちょこじぃ~です。
遺言には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言などがありますが、いざ、遺言書を発見した場合、相続人はどのような手続きが必要になるでしょうか?

実は、公正証書遺言以外の遺言書、すなわち「自筆証書遺言書」及び「秘密証書遺言書」を保管している者あるいは発見した者は、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、遺言書の検認を受けなければなりません。


遺言書の検認申立ては、遺言者の最後の住所地又は相続開始地の家庭裁判所にします。


検認の目的

遺言書の検認とは、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など遺言書の内容を確認し遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。


「遺言が遺言者の真意であるかどうか」や、「遺言が有効であるかどうか」を審査する手続ではありません。

また、遺言書の検認は、遺言書の存在を相続人ほかの利害関係人に知らさせる目的もあります。

封印のある遺言書は、家庭裁判所において、相続人またはその代理人の立会いのうえ 開封しければなりません。

この封印とは、封に押印がされているもののことであり、遺言書が単に封筒に入って糊付けしてあるものは封印にあたりません。
       
なお、遺言書の開封は、検認手続きの過程で行なわれるので、格別、開封の申立てをする必要はありません。

    
検認を受けないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で封印のある遺言書を開封した者は、5万円以下の過料に処せられますので注意が必要です。 また、故意に遺言書を隠匿していた場合には、相続欠格者として相続権を失うことになります。


今日のじじ
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公正証書遺言 [遺言]

こんにちは、ちょこじぃ~です。
私は、遺言に関する法律相談の場合、相談者によく公正証書による遺言を勧めます。
なぜかというと、遺言の中でも実は公正証書による遺言が、もっとも安全で確実な方法だから
です。

遺言の方式についてはこちら

この公正証書遺言書は、内容が公証人によって確認され、原本が公証役場に保管されるため、
紛失や偽造の心配がなく相続のトラブルを、未然に防ぐことができます。

また、裁判所の判決と同様、法的に強制力があります。

まず、公証役場において、遺言者と証人2人の立会いの場で、遺言者が口述した内容を
公証人が筆記して遺言書を作成します。


このとき、遺言者は遺言の内容を書面で提出するのではなく、必ず口頭で公証人に伝えなくては
なりません。

もちろん、事前に用意してあった内容を読み上げることもできます。


その後に、公証人が遺言者、証人2人の確認をとるため、作成した遺言書を読み上げるか、
閲覧させます。
確認が取れると、遺言書に遺言者、証人がそれぞれ署名、捺印することになります。


最後に、公証人が正規の手続きで遺言書を作成したことを付記して、署名、捺印することに
よって、公正証書遺言書の完成となります。


なお、遺言者本人が病気などで、公証役場に出向けないときは、公証人に来てもらうことができ、遺言書に署名できないときも、公証人がその旨を付記して、代わりに署名することもできます。


作成した公正証書遺言書の原本は、公証役場に原則として半永久的に保管され、正本(原本と同一の効力がある)は遺言者に手渡されます。


また、自筆証書遺言書や秘密証書遺言書のように家庭裁判所での”遺言書の検認”の手続きも必要ありません。

公証役場に伴う証人2人については、相続に利害関係のある人は証人になることはできません。
例えば、遺言者の配偶者や子供、未成年者などです。

必要な書類は、実印と印鑑登録証明書の他、遺言の内容によって違ってきます。
また、遺言書の作成費用も同じく、内容により違いますので事前に公証役場に確認しておくとよいでしょう。


今日の???

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遺言書記載例 [遺言]

法律相談で、たまに遺言書の書き方を聞かれます。
今回は、全財産を一人に相続させる方法と予備的遺言書の記載方法を紹介します。

遺言書の記載例1(全財産を長男に相続させる場合)

                  遺言書

 遺言者甲は、遺言者の有する一切の財産を、長男乙(昭和  年  月  日生)に相続させる。

付言 長男乙に単独で相続させることにしたのは、長男に家を守ってもらいたいからです。

 平成  年  月  日

  住 所 
  遺言者                印

補足説明
 長男に全てを相続させたい場合に使う文例です。
「一切の財産」には、不動産、預貯金、動産など全てが含まれます。
 他の家族に伝えたいことがあれば、付言として付け加えることもできます。


遺言書の記載例2(予備的遺言を入れる場合)

                  遺言書

第1条 遺言者甲は、遺言者の有する一切の財産を、妻乙(昭和 年 月 日生)に相続させる。

第2条 遺言者は、遺言者の死亡以前に妻乙が死亡したときは、遺言者の有する一切の財産を、長男丙(平成 年 月 日生)に相続させる。

平成  年  月  日

  住 所 
  遺言者                印

補足説明
 予備的遺言とは、推定相続人や受遺者が遺言者より先に死んだ場合に備えた二次的遺言です。
子供のいない夫婦などで、配偶者に全てを相続させるという夫婦相互遺言をし、予備的遺言を加えた文例です。遺言の中で、財産の行き場所がなくなることのないように、予備的遺言を入れておくと安心です。

今日のじじ
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遺言Q&A-4 [遺言]

法律相談でよく聞かれる遺言書のQ&Aです。
参考にしていただけれ幸いです。

遺言Q&A-4
Q 口がきけない者、耳が聞こえない者でも公正証書遺言が作成できますか?
A 可能です。
  従前は,公正証書遺言は,遺言者が,「口頭で」公証人にその意思を伝えなければならず,更に遺言書作成後,これを「読み聞かせ」なければならないとされていました。
しかし,民法の改正により,平成12年1月から,口がきけない方や,耳の聞こえない方でも,公正証書遺言をすることができるようになりました。したがって,口のきけない方でも,自書のできる方であれば,公証人の面前でその趣旨を自書することにより(筆談により),病気等で手が不自由で自書のできない方は,通訳人の通訳を通じて申述することにより,公証人にその意思を伝えれば,公正証書遺言ができることになりました。この結果,もともと口のきけない方も,あるいは,脳梗塞で倒れて口がきけなくなったり,病気のため気管に穴を開けたりして口のきけない状態になっている方でも,公正証書遺言ができるようになりました。そして,実際に,公証人が,病院等に赴いて,口のきけない方の遺言書を作成することも珍しくありません。
 また,公正証書遺言は,作成後遺言者及び証人の前で読み聞かせることにより,その正確性を確認することになっていますが,耳の聞こえない方のために,読み聞かせに代えて,通訳人の通訳又は閲覧により,筆記した内容の正確性を確認することができるようになりました。

Q 条件を前提とした公正証書遺言は作成できますか?
A 民法は,財産の遺贈を受ける人に一定の負担を与える遺贈のことを,「負担付遺贈」として,規定を置いています(民法1002条)。
負担付遺贈をする場合に配慮すべきことは,負担の内容を明確にすることと,その負担が,遺贈の目的の価額の範囲内にあるようにすることですが,いずれにしろ,このような遺言をする場合には,受遺者となるべき人又は機関と,事前に十分話し合っておくことが必要と思われます。遺言が効力を生じた後に,受遺者が負担した義務を履行しない場合には,相続人は,相当の期間を定めてその履行を催告し,その期間内に履行がないときは,遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができることになっています(民法1027条)。

Q 被相続人が公正証書遺言を作成したかどうか調べることができますか?
A 平成元年以降に作成された公正証書遺言であれば,日本公証人連合会において,全国的に,公正証書遺言を作成した公証役場名,公証人名,遺言者名,作成年月日等をコンピューターで管理していますから,すぐに調べることができます。
 なお,秘密保持のため,相続人等利害関係人のみが公証役場の公証人を通じて照会を依頼することができることになっていますので,亡くなった方が死亡したという事実の記載があり,かつ,亡くなった方との利害関係を証明できる記載のある戸籍謄本と,ご自身の身分を証明するもの(運転免許証等顔写真入りの公的機関の発行したもの)を持参し,お近くの公証役場にご相談下さい。

Q 公正証書遺言を作成するための準備?
A 公正証書遺言の作成を依頼される場合には,最低限下記の資料が必要ですので,これらを準備しておかれたら,打ち合わせがスムーズに進行すると思います。なお,事案に応じ,他にも資料が必要となる場合もありますが,細かいことは,最寄りの公証役場にご遠慮なくお尋ね下さい。

 ①  遺言者本人の印鑑登録証明書
 ②  遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
 ③  財産を相続人以外の人に遺贈する場合には,その人の住民票
 ④  財産の中に不動産がある場合には,その登記事項証明書(登記簿謄本)と,固定資産評価証明書又は固定資産税・都市計画税納税通知書中の課税明細書
 ⑤  なお,前記のように,公正証書遺言をする場合には,証人二人が必要ですが,遺言者の方で証人を用意される場合には,証人予定者のお名前,住所,生年月日及び職業をメモしたものをご用意下さい。

今日のちょこ
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遺言Q&A [遺言]

法律相談で聞かれる遺言のQ&Aです。
何回かに分けて紹介したいと思います。

遺言Q&A-3
Q 遺言とは?
A 遺言とは,自分が生涯をかけて築き,かつ守ってきた大切な財産を,最も有効・有意義に活用してもらうために行う,遺言者の意思表示です。
(なお,遺言には,非嫡出子を認知する等の身分上の事項に関する遺言もありますが,このQ&Aでは,財産上の事項に関する遺言について述べることにします。)

Q 遺言の必要性が強いケース
A 一般的に言えば,ほとんどの場合において,遺言者が,当人のおかれた家族関係や状況をよく頭に入れて,それにふさわしい形で財産を承継させるように遺言をしておくことが,遺産争いを予防するため,また後に残された者が困らないために,必要なことであると言ってよいと思いますが,下記1ないし7のような場合には,遺言をしておく必要性がとりわけ強いと思われます。


1 夫婦の間に子供がいない場合
  夫婦の間に子供がいない場合に,法定相続となると,夫の財産は,妻が4分の3,夫の兄弟が4分の1の各割合で分けることになります。
妻に財産を全部相続させたい場合は,遺言をしておくことが絶対必要です。兄弟姉妹には,遺留分がありませんから,遺言さえしておけば,財産を妻に残すことができます。

2 再婚をし,先妻の子と後妻がいる場合
  先妻の子と後妻との間では,トラブルが多く,遺産争いが起こる確率も非常に高いので,争いの発生を防ぐため,遺言できちんと定めておく必要性が特に強いといえます。

3 長男の嫁に財産を分けてやりたいとき
  長男死亡後,長男の配偶者は相続人ではないので,遺言で長男の配偶者にも財産を遺贈する旨定めておかないと,長男の配偶者は何ももらえないことになってしまいます。

4 内縁の妻の場合
 長年夫婦として連れ添ってきても,婚姻届けを出していない場合には,いわゆる内縁の夫婦となり,内縁の妻には相続権がありません。
したがって,内縁の妻に財産を残してあげたい場合には,必ず遺言をしておかなければなりません。

5 個人で事業を経営したり,農業をしている場合などは,その事業等の財産的基礎を複数の相続人に分割してしまうと,上記事業の継続が困難となります。このような事態を招くことを避け,家業等を特定の者に承継させたい場合には,その旨きちんと遺言をしておかなければなりません。

6 上記の各場合のほか,各相続人毎に承継させたい財産を指定したいときとか(例えば,不動産は,お金や預貯金と違い,事実上皆で分けることが困難な場合、これを誰に相続させるか決めておくとよい。),あるいは,身体障害のある子に多くあげたいとか,遺言者が特に世話になっている親孝行の子に多く相続させたいとか,可愛いくてたまらない孫に遺贈したいとかのように,遺言者のそれぞれの家族関係の状況に応じて,具体的妥当性のある形で財産承継をさせたい場合には,遺言をしておく必要があります。

7 相続人が全くいない場合
 相続人がいない場合には,特別な事情がない限り,遺産は国庫に帰属します。したがって,このような場合に,特別世話になった人に遺贈したいとか,お寺や教会,社会福祉関係の団体,自然保護団体,あるいは,ご自分が有意義と感じる各種の研究機関等に寄付したいなどと思われる場合には,その旨の遺言をしておく必要があります。

Q 公正証書遺言のメリット・デメリット
A 公正証書遺言は,遺言者が,公証人の面前で,遺言の内容を口授し,それに基づいて,公証人が,遺言者の真意を正確に文章にまとめ,公正証書遺言として作成するものです。
  公正証書遺言は,自筆証書遺言と比べて,安全確実な遺言方法です。
  また,公正証書遺言は,家庭裁判所で検認の手続を経る必要がないので,相続開始後,速やかに遺言の内容を実現することができます。さらに,原本が必ず公証役場に保管されますので,遺言書が破棄されたり,隠匿や改ざんをされたりする心配も全くありません。
 また,自筆証書遺言は,全文自分で自書しなければなりませんので,体力が弱ってきたり,病気等のため自書が困難となった場合には,自筆証書遺言をすることはできませんが,公証人に依頼すれば,このような場合でも,遺言をすることができます。
署名することさえできなくなった場合でも,公証人が遺言者の署名を代書できることが法律で認められています。
 なお,遺言者が高齢で体力が弱り,あるいは病気等のため,公証役場に出向くことが困難な場合には,公証人が,遺言者の自宅又は病院等へ出張して遺言書を作成することもできます。
 以上のとおり,公正証書遺言は,自筆証書遺言と比較すると,メリットが多く,安全確実な方法であるといってよいと思われますが,遺言者にとっては,費用のかかることが難点と言えます。

Q 秘密証書遺言のメリット・デメリット
A 秘密証書遺言は,遺言者が,遺言の内容を記載した書面(自筆証書遺言と異なり,自書である必要はないので,ワープロ等を用いても,第三者が筆記したものでも構いません。)に署名押印をした上で,これを封じ,遺言書に押印した印章と同じ印章で封印した上,公証人及び証人2人の前にその封書を提出し,自己の遺言書である旨及びその筆者の氏名及び住所を申述し,公証人が,その封紙上に日付及び遺言者の申述を記載した後,遺言者及び証人2人と共にその封紙に署名押印することにより作成されるものです。
 上記の手続を経由することにより,その遺言書が間違いなく遺言者本人のものであることを明確にでき,かつ,遺言の内容を誰にも明らかにせず秘密にすることができますが,公証人は,その遺言書の内容を確認することはできませんので,遺言書の内容に法律的な不備があったり,紛争の種になったり,無効となってしまう危険性がないとはいえません。
 また,秘密証書遺言は,自筆証書遺言と同じように,この遺言書を発見した者が,家庭裁判所に届け出て,検認手続を受けなければなりません。

Q 相続人や受遺者が,遺言者の死亡以前に死亡した場合
A 相続人や受遺者が,遺言者の死亡以前に死亡した場合(以前とは,遺言者より先に死亡した場合だけでなく,遺言者と同時に死亡した場合も含みます。),遺言の当該部分は失効してしまいます。したがって,そのような心配のあるときは,予備的に,例えば,「もし,妻が遺言者の死亡以前に死亡したときは,その財産を,〇〇に相続させる。」と決めておけばよいわけです。これを「予備的遺言」といいます。

今日の???
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