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遺言執行者が選任されていない場合の登記 [遺言]

遺言書により遺言執行者が選任されていない場合でも、相続人全員が登記義務者として手続きをすることで、遺贈による所有権移転登記が行えます。

しかし、遺贈の登記をする際に相続人全員の協力を得ることが難しい場合、家庭裁判所で遺言執行者の選任をしてもらうこともできます。

「遺言によって遺言を執行する人が指定されていないとき」には、家庭裁判所への遺言執行者の選任の申立をすることができるとされているからです。

相続させると遺言された推定相続人が先に死亡した場合 [遺言]

遺言で、「相続させる」とされた推定相続人が、遺言者よりも先に死亡した場合、代襲相続は生じるのでしょうか。

結論
相続させるとの遺言で代襲相続は生じない。

解説
「相続させる」旨の遺言は、当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから、遺言者が、上記の場合には、当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、その効力を生ずることはないと解するのが相当である(最高裁判所平成23年2月22日判決)。

なお、特段の事情があったとして、「代襲相続人に相続させるとする規定が適用ないし準用されると解するのが相当である」と判断された裁判例(東京高等裁判所平成18年6月29日判決)もあります。


解決策
上記の場合を考慮して、代襲者に相続させるための予備的遺言をすることをお勧めします。


第 条 遺言者は、遺言者の長男が遺言者の死亡前に死亡したときは、第 条に定める土地を遺言者の長男の子A(平成○年○月○日生)に相続させる。


遺言書には押印がなく、封筒に押印がある場合 [遺言]

遺言書自体には押印がないが、遺言書が入れられている封筒の封じ目に押印がされている場合に、自筆証書遺言の要件を満たしていると判断された事例があります。


遺言書本文の入れられた封筒の封じ目にされた押印をもって民法968条1項の押印の要件に欠けるところはないとした原審の判断は,正当として是認することができ,原判決に所論の違法はない(最高裁平成6年6月24日判決)。

この最高裁判決の事例では、遺言書が書簡(手紙)の形式となっているのが重要な点です。
全文を直筆して、日付及び署名をしているものの、その遺言書(手紙)には押印がありません。
しかし、その手紙を入れた封筒の封じ目に押印をしていたのです。
さらに、この遺言書(手紙)を郵便局から郵送しています。

上記判決では、この遺言書が遺言書が書簡形式であったことも重視されていると考えられ、ただ封筒の封じ目に押印しているというだけでは、必ずしも自筆証書遺言の要件を満たしていると判断されるとはいえません。

遺言書に押印がなかった場合 [遺言]

Q 法的に有効な自筆証書遺言であるといえるための必要条件は、「遺言者が、遺言の全文、日付および氏名を自書すること、そして、その遺言書に押印すること」です。
それでは、遺言書に押印がされていない場合、その遺言書は絶対に無効なのでしょうか?

A 遺言書に押す印鑑には制限がなく、また、印鑑を使用せず、拇印や、その他の指で押捺したものでも有効だとされています。

判例
自筆証書によつて遺言をするには、遺言者が遺言の全文、日附及び氏名を自書した上、押印することを要するが(民法968条1項)、右にいう押印としては、遺言者が印章に代えて拇指その他の指頭に墨、朱肉等をつけて押捺すること(以下「指印」という。)をもって足りるものと解するのが相当である(最高裁平成1年2月16日判決)。



包括遺贈と特定遺贈の債務負担の違い [遺言]

遺贈で財産を譲渡される場合、包括遺贈を受けた受遺者は、包括遺贈を受けた割合において、債務を負担します。

例えば、相続財産の2分の1の包括遺贈を受けた場合、相続財産に含まれる借金の2分の1も負担しなければなりません。

これに対して特定遺贈を受けた受遺者は、遺言者が債務を負担してくださいと意思表示していない限り、債務を負担することはありません。

遺言書書式(遺言執行者の報酬) [遺言]

遺言書

第1条 ・・・・・・・・・・・・・・・・
第2条 ・・・・・・・・・・・・・・・・
第○条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として下記の者を指定する。
     記
 住所
 氏名 
 生年月日 昭和  年  月  日生

第○条 遺言執行者に対する報酬は、相続開始時の遺言者の有する財産全部の評価額(不動産については固定資産評価額)合計の2%とする。

平成  年  月  日

住所
氏名  遺言者                   印


解説
遺言執行者へ支払うべき報酬を、遺言の中で定めておく場合に使う文例の一部です。
「金20万円」という表現でも構いません。
定めていなかった場合は、遺言執行者と共同相続人の話し合いか、家庭裁判所が報酬を定めることになります。

遺産分割を禁止する遺言書 [遺言]

遺言書

 遺言者は、遺言者の有する一切の財産について、相続開始後5年間、遺産分割を禁止する。

 平成○○年○○月○○日

     住 所 
     遺言者                印



解説
遺産分割を禁止できる期間は、最長5年間になります。
禁止する理由は特に必要ありません。
ただし、相続人全員が合意すれば、途中でも原則遺産分割できます。


今日のちょことじじ
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仲良く、ゲージの中へ[黒ハート]



ではなく、エサを横取りする、ちょこを阻止する、じじ なのでした。

遺言書の一部を変更する場合 [遺言]

               遺    言    書

 遺言者は、平成○年○月○日作成した遺言書につき、以下のとおり改め、変更する。
なお、変更しない部分については、全て原遺言書記載のとおりとする。

(1)原遺言書第1条に、
 遺言者の有する一切の財産を、妻○○(昭和○年○月○日生)に相続させる。

とあるを、

 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、子××(昭和×年×月×日生)に相続させる。

に改め、変更する。

平成○○年○○月○○日

住  所 
遺言者  △△     印



説明
遺言の一部を変更する場合の一例です。
変更箇所が多い場合は、前の遺言を全て撤回して、新たに遺言書を作成するのをお勧めします。

遺言書を作成できる人 [遺言]

遺言書を作成できる人の要件は、民法によって次のように規定されています。

•遺言書を作成するときに満15歳以上であること
•遺言書を作成するときに意志能力があること

この二つの要件を満たさずに作成された遺言書は【無効】になります。

『意志能力』とは、自分自身で物事を考え、判断し、その結果を認識できる能力のことです。

私が扱った相続でも意志能力の有無について争いになったことがあります。

不満がある相続人からしたら「遺言者の意志能力がないときに、相続人にそそのかされて書かされたのではないか」と疑い、結果、相続争いになるケースです。

その為、遺言書を作成するときは、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言をお勧めします。


今日のちょことじじ

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秘密証書遺言 [遺言]

秘密証書遺言に関する法律相談

秘密証書遺言とは、「内容」を秘密にしたまま、「存在」のみを証明してもらう遺言のことです。

(秘密証書遺言)
第970条1.秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
 1  遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
 2  遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
 3  遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨
   並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
 4  公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び
   証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

2.第968条第二項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。
 

秘密証書遺言の内容
 秘密証書遺言は、まず遺言する人が自分で作成した遺言書を公証人のところまで持って

 いきます。そして遺言書の「内容」を秘密にしたまま、遺言書の「存在」のみを

 公証人に証明してもらいます。


 公証人に「存在」を証明してもらえるので、自筆証書遺言のように、遺書が本物かどうかと

 いった遺族の間で争いは起きません。また、公正証書遺言のように遺言の「内容」を

 人に知られてしまうこともありません。



作成方法

 遺言書は、自分で署名押印さえすれば、パソコンを使ったりまたは代筆してもらったりしても

かまいません。ただし遺言が何らかの理由(例えば、証人の資格がない人が証人になった)

により秘密証書遺言と認められなくても、自筆証書遺言の条件を満たしていれば、

遺言として通用されるので、自筆で書くほうが安心です(民法971)。


また、秘密を守るため、封筒などに入れて遺言書自体を封じ、遺言書に押印した同じ印鑑で

封印をする必要があります。


このように作成した遺言書を持って、2人以上の証人を連れ、公証役場に行きます。

遺言者は、公証人及び証人の前にその封書を提出し、自己の遺言書である旨及びその筆者の氏名

及び住所を申述します。そして、公証人がその封紙上に、遺言者の自己の遺言書である旨の

申述や、提出した日付を書いてくれます。


最後に、遺言者は証人と共に、その封紙に署名・押印することにより、遺言書が作成されます。

作成されたら、その遺言書は遺言者自身で保管します。


なお、公証人は遺言の「内容」まで確認をするわけではないので、遺言としての要件が欠けて

無効となってしまう危険性がないとはいえません。

また、自筆証書遺言と同じように、遺言書の保管者や、これを発見した人は、遺言者が

亡くなったら、家庭裁判所に届け出て検認手続を受けなければなりません。

 

秘密証書遺言のポイント

特徴
遺言の「内容」を秘密にして、遺言の「存在」のみを公証人役場で証明してもらう

注意点
・パソコンの使用、代筆が可能(ただし、自筆の署名、捺印が必要)
・封入・封印が必要
・2人以上の証人が必要

メリット
・遺言書の「内容」を他人に秘密にしたまま、遺言書の「存在」を明らかにできる
・遺言書の偽造・変造の心配がほとんどない

デメリット
・作成時に公証人を利用しなければならないため、面倒な手続きと費用がかかる
・公証人は遺言の「内容」まで確認をするわけではないので、遺言としての要件が欠けてしまう
 場合もある
・執行時に家庭裁判所の検認の手続きが必要となる
・遺言書の滅失・隠匿の心配はある。

今日の???
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私もイルカに乗ってみたいなぁ~

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