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遺言Q&A [遺言]






法律相談で聞かれる遺言のQ&Aです。
何回かに分けて紹介したいと思います。

遺言Q&A-3
Q 遺言とは?
A 遺言とは,自分が生涯をかけて築き,かつ守ってきた大切な財産を,最も有効・有意義に活用してもらうために行う,遺言者の意思表示です。
(なお,遺言には,非嫡出子を認知する等の身分上の事項に関する遺言もありますが,このQ&Aでは,財産上の事項に関する遺言について述べることにします。)

Q 遺言の必要性が強いケース
A 一般的に言えば,ほとんどの場合において,遺言者が,当人のおかれた家族関係や状況をよく頭に入れて,それにふさわしい形で財産を承継させるように遺言をしておくことが,遺産争いを予防するため,また後に残された者が困らないために,必要なことであると言ってよいと思いますが,下記1ないし7のような場合には,遺言をしておく必要性がとりわけ強いと思われます。


1 夫婦の間に子供がいない場合
  夫婦の間に子供がいない場合に,法定相続となると,夫の財産は,妻が4分の3,夫の兄弟が4分の1の各割合で分けることになります。
妻に財産を全部相続させたい場合は,遺言をしておくことが絶対必要です。兄弟姉妹には,遺留分がありませんから,遺言さえしておけば,財産を妻に残すことができます。

2 再婚をし,先妻の子と後妻がいる場合
  先妻の子と後妻との間では,トラブルが多く,遺産争いが起こる確率も非常に高いので,争いの発生を防ぐため,遺言できちんと定めておく必要性が特に強いといえます。

3 長男の嫁に財産を分けてやりたいとき
  長男死亡後,長男の配偶者は相続人ではないので,遺言で長男の配偶者にも財産を遺贈する旨定めておかないと,長男の配偶者は何ももらえないことになってしまいます。

4 内縁の妻の場合
 長年夫婦として連れ添ってきても,婚姻届けを出していない場合には,いわゆる内縁の夫婦となり,内縁の妻には相続権がありません。
したがって,内縁の妻に財産を残してあげたい場合には,必ず遺言をしておかなければなりません。

5 個人で事業を経営したり,農業をしている場合などは,その事業等の財産的基礎を複数の相続人に分割してしまうと,上記事業の継続が困難となります。このような事態を招くことを避け,家業等を特定の者に承継させたい場合には,その旨きちんと遺言をしておかなければなりません。

6 上記の各場合のほか,各相続人毎に承継させたい財産を指定したいときとか(例えば,不動産は,お金や預貯金と違い,事実上皆で分けることが困難な場合、これを誰に相続させるか決めておくとよい。),あるいは,身体障害のある子に多くあげたいとか,遺言者が特に世話になっている親孝行の子に多く相続させたいとか,可愛いくてたまらない孫に遺贈したいとかのように,遺言者のそれぞれの家族関係の状況に応じて,具体的妥当性のある形で財産承継をさせたい場合には,遺言をしておく必要があります。

7 相続人が全くいない場合
 相続人がいない場合には,特別な事情がない限り,遺産は国庫に帰属します。したがって,このような場合に,特別世話になった人に遺贈したいとか,お寺や教会,社会福祉関係の団体,自然保護団体,あるいは,ご自分が有意義と感じる各種の研究機関等に寄付したいなどと思われる場合には,その旨の遺言をしておく必要があります。

Q 公正証書遺言のメリット・デメリット
A 公正証書遺言は,遺言者が,公証人の面前で,遺言の内容を口授し,それに基づいて,公証人が,遺言者の真意を正確に文章にまとめ,公正証書遺言として作成するものです。
  公正証書遺言は,自筆証書遺言と比べて,安全確実な遺言方法です。
  また,公正証書遺言は,家庭裁判所で検認の手続を経る必要がないので,相続開始後,速やかに遺言の内容を実現することができます。さらに,原本が必ず公証役場に保管されますので,遺言書が破棄されたり,隠匿や改ざんをされたりする心配も全くありません。
 また,自筆証書遺言は,全文自分で自書しなければなりませんので,体力が弱ってきたり,病気等のため自書が困難となった場合には,自筆証書遺言をすることはできませんが,公証人に依頼すれば,このような場合でも,遺言をすることができます。
署名することさえできなくなった場合でも,公証人が遺言者の署名を代書できることが法律で認められています。
 なお,遺言者が高齢で体力が弱り,あるいは病気等のため,公証役場に出向くことが困難な場合には,公証人が,遺言者の自宅又は病院等へ出張して遺言書を作成することもできます。
 以上のとおり,公正証書遺言は,自筆証書遺言と比較すると,メリットが多く,安全確実な方法であるといってよいと思われますが,遺言者にとっては,費用のかかることが難点と言えます。

Q 秘密証書遺言のメリット・デメリット
A 秘密証書遺言は,遺言者が,遺言の内容を記載した書面(自筆証書遺言と異なり,自書である必要はないので,ワープロ等を用いても,第三者が筆記したものでも構いません。)に署名押印をした上で,これを封じ,遺言書に押印した印章と同じ印章で封印した上,公証人及び証人2人の前にその封書を提出し,自己の遺言書である旨及びその筆者の氏名及び住所を申述し,公証人が,その封紙上に日付及び遺言者の申述を記載した後,遺言者及び証人2人と共にその封紙に署名押印することにより作成されるものです。
 上記の手続を経由することにより,その遺言書が間違いなく遺言者本人のものであることを明確にでき,かつ,遺言の内容を誰にも明らかにせず秘密にすることができますが,公証人は,その遺言書の内容を確認することはできませんので,遺言書の内容に法律的な不備があったり,紛争の種になったり,無効となってしまう危険性がないとはいえません。
 また,秘密証書遺言は,自筆証書遺言と同じように,この遺言書を発見した者が,家庭裁判所に届け出て,検認手続を受けなければなりません。

Q 相続人や受遺者が,遺言者の死亡以前に死亡した場合
A 相続人や受遺者が,遺言者の死亡以前に死亡した場合(以前とは,遺言者より先に死亡した場合だけでなく,遺言者と同時に死亡した場合も含みます。),遺言の当該部分は失効してしまいます。したがって,そのような心配のあるときは,予備的に,例えば,「もし,妻が遺言者の死亡以前に死亡したときは,その財産を,〇〇に相続させる。」と決めておけばよいわけです。これを「予備的遺言」といいます。

今日の???
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