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立木法 [ら行]

土地に育成している樹木でも、これを一団として、土地とは、独立に登記できるように規定した法律(明治42法22)。
 
民法や不動産登記法では、土地に生えている樹木を独立の不動産として扱っていなかたので、特に、この法律が作られました。
 
これによれば、下の土地とは別個に樹木の集団(立木)だけを登記でき、建物と同様、これを担保に入れて抵当権設定の登記をすることもでき、もちろん、売買などの所有権移転登記移転とうきをすることもできます。
 
また、特に立木の登記をしていない個々の樹木でも、これに「明忍方法」を施しておけば、下の土地と切り離して、独立に売買などの対象とすることことができます。

留置権 [ら行]

留置権とは、他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権を有するときに、その債権の弁済を受けるまでその物を留置しうる権利です。

留置権の法律用語集はこちら

例えば、留置権によって、時計を修理した者は時計の修理代金を支払うまでその時計を渡さないと主張できます。

このような留置権は、公平の観点から認められた法定担保物権です。

もっとも留置権は物権ではあるものの、占有を伴う限りにおいて認められ、留置権者が占有を失えば留置権は消滅します(302条)。

なお民法上の留置権と商法上の留置権はその沿革を異にするものであり、商法では商人間の信頼関係を尊重して広く留置権の成立を認めています。

留置権には付従性、随伴性、不可分性が認められますが、留置権はその物の占有継続が存続要件であり、その物が滅失したり処分されたような場合には留置権がそもそも消滅することとなるため、物上代位性はありません。

また、民法上の同様の制度として同時履行の抗弁権がありますが、通説によれば、留置権と同時履行の抗弁権が両方成立する場合には、いずれも自由に行使することができます。


留置権の成立

他人の物判例・通説によればここでいう他人とは、占有者以外の者を言い、債務者の所有物である必要はありません。もっとも、これには反対する見解も主張されています。

物は、動産・不動産を問わず、不動産の場合にはその登記を要しません。

占有留置権の成立には、その物の占有が必要です。これは成立要件にとどまらず、存続要件となっています。

代理人による占有でもよいとされています。物と債権との牽連性その具体的な基準については、多様な見解が主張されていますが、一般的に

占有する物と債権との間には何らかの関連性がなければなりません。

295条1項は留置権について「その物に関して生じた債権を有するときは」と定めており、これには、債権がその物自体から生じた場合。

債権が弁済期にあること留置権行使の前提として、債権が行使しうる状態にあることが必要(295条1項但書)。


留置権について、以上のような成立要件が充たされる場合であっても、295条2項により、その占有が不法行為によって始まった場合には、留置権は成立しません。

そこで、例えば盗んだものについて必要費などの費用を支出したとしても、それによる留置権の主張は認められません。

また、判例では、占有開始後に占有が不法となり、かつ占有者がそのことにつき悪意の場合には、295条2項を類推適用して留置権の成立を認めません(最判昭和41年3月3日民集20巻3号386頁など)。


留置権の効力

留置権には、留置的効力が認められます。
これは、債務の弁済を受けるまでその物を留置することができるという効力であり、これによって債務の弁済を間接的に強制する効果があると考えられます。

そして、留置権は物権であり、この効力を誰に対しても主張することができます(この点が同時履行の抗弁権と大きく異なります)。

これに対し、留置権に優先弁済的効力は認められていません。留置権者は目的物を競売にかけることができます(民事執行法195条)が、これはあくまで形式的競売、すなわち目的物を留置し続けることによる費用などの不利益を回避するためのものであり、優先弁済を目的とするものではありません。

物の引渡しを求めて訴えを提起した場合に、相手方が留置権を主張して認められれば、引換給付判決が下されることとなります。

例えば、被告は原告の代金100万円の支払いと引き換えに甲を引き渡せ、といったものです。



留置権者の権利義務

留置権者は、被担保債権の全額の支払いを受けるまで、目的物を留置できます(296条、不可分性)。また、留置物から生じた果実を収取し、これを自己の債権の弁済に充当することができます(297条1項)。

一方で、留置者は目的物の保管について善管注意義務を負い(298条1項)、また債務者の承諾を得なければ留置物の使用や賃貸、担保としての提供をすることはできません(298条2項本文)。

ただし留置物の保存に必要な行為については、債務者の承諾は不要です(298条2項但書)。



費用償還請求権

留置権者が、その留置物につき必要費・有益費を支出した場合その償還を求めることができます。

必要費について、一般の善意占有者の場合(196条1項但書)と異なり、留置権者は常に必要費の償還を請求できます。この償還請求権を被担保債権として、その物に留置権が認められます。

有益費については、これによる価格の増加が現存する場合に限り、所有者の選択によりその支出した金額または価値の増加額の償還を請求することができます。

ただし、有益費については、裁判所は請求により、その償還に相当の期限を許与できます。

この場合には履行期が到来していないこととなるため、これを被担保債権とする留置権の成立は認められません。


留置権の消滅

留置権は、物権一般の消滅原因である、混同や目的物の滅失など、担保物権の一般的な消滅原因である、被担保債務の弁済による消滅などによって消滅するほか、目的物の占有の喪失(302条)や、留置権の消滅請求(298条3項)、代担保の供与(301条)によって消滅します。

298条3項は、留置権者がその義務に反した場合に、債務者が留置権の消滅を請求することができると定めており、これが留置権の消滅請求です。

この請求権は、債務者だけでなく所有者にも認められており、またこれは形成権であって、消滅請求がなされれば留置権者の承諾などを必要とせず、留置権は消滅します。

また、301条は、債務者は、相当の担保を供して、留置権の消滅を請求することができると定めており、このように被担保債権の代わりの担保となりうるものを供与して、留置権の消滅請求をすることもできます。

これには留置権者の承諾が必要であり、留置権者が承諾しない場合には、承諾に代わる判決を求めることとなります。代わりとなる相当の担保には、物的担保に限られず人的担保も含まれます。

占有の継続に関して、占有が奪われた場合には、占有回収の訴え(200条)によって占有を回復すれば、占有は継続していたものと扱われるので(203条但書)、留置権も消滅しません。


今日のちょこ
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