「原告と被告を離婚する」という判決が確定すると、いままで夫婦であった原告と被告が夫婦でなくなるという効果が形成されます。
したがって、原告甲が被告乙と離婚したいが、乙が離婚に同意しないような場合、甲の方に離婚すべき正当な原因があれば、甲は乙を相手どって、「原告と被告を離婚する」という判決を求めて訴えを提起します。
このような訴えが形成の訴えです。
乙株式会社の株主総会が違法に招集され、違法な決議がされたような場合、株主甲は乙株式会社を相手どって「被告乙株式会社の平成○○年○月○日の株主総会の決議を取り消す」という判決を求めて訴えを提起することができます。
この訴えに対して、「・・・決議を取り消す」という判決が下され確定すると、いままで有効に存在していた株主総会決議が消滅するという効果が形成されます。
この訴えもまた、形成の訴えです。
そのほか、A税務署が間違って全然所得のないBに所得税を課したような場合、Bは「被告A税務署の原告Bに対する何月何日の何々の課税処分を取り消す」との判決を求める訴えを提起することができます。
これも、取消判決によってはじめて課税処分の効力が取り消されるという効果が形成されるから形成の訴えです。
なお、共有物分割の訴え、土地境界確定の訴え、地上権の存続期間や地代を定める訴えなどは、判決の内容が裁判所の裁量に任せられていて、例えば、どのように境界線を引くべきであるというような要件が法律で定められていないので、これを特に形式的形成訴訟と呼んでいます。
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