担保物権とは、目的物を債権の担保に供することを目的とする物権をいいます。
担保物権には、債権者と債務者があらかじめ約束して成立させる約定担保物権と、特殊な債権について法律によって当然に与えられる法定担保物権の2種類があります。
我が国の民法では、前者に属するものとして質権と抵当権が、後者に属するものとして留置権と先取特権が認められています。
また、法律で規定してはいませんが実際の取引で頻繁に用いられて、判例も認めている譲渡担保の制度も、担保物権の一種です。
担保物権の目的となる財産は原則として特定の財産でなくてはなりません。
もっとも、その財産は債務者の所有物である必要はありません。
債務者の友人や親戚などが債務者のために担保物を提供することもあり得ます。
担保物権は、債権者が自分の債権を確保するための物権でありますが、その債権の確保の仕方は次の2点があります。
1つ目は、債務者が弁済しない場合に、債権者が担保物を競売してその代金から優先的に弁済を受けるという方法で、2つ目は、担保物を債権の手元において債務者が弁済をしない限り、これを返還しないことにして間接的に弁済を催促するという方法です。
前者は、先取特権・質権・抵当権に、後者は留置権と質権に認められています。
担保物権には以下のような性格を持ちます。
附従性
債権がなければ担保物権も成立せず、また債権が消滅すれば担保物権も消滅します。
担保物権が債権の担保という目的のために存する権利であることから出てくる当然の性質です。
随伴性
担保物権は債権を担保するものでありますので、その債権が譲渡されれば、原則としてこれに伴って移転します。
不可分性
担保物権は、債権全部の弁済を受けるまでは消滅しません。
例えば、100万円の債権のうち、既に90万円の弁済を受けたとしても、担保物権は全部について存続します。
物上代位性
担保の目的物が売却・賃貸されたり、滅失・毀損したために、その所有者が売買代金、賃料、損害賠償、保険金などの請求権を取得する場合には、担保物権はこれらの請求権の上になお存続します。ただし、留置権にはこのような性質はありません。
コメント 0