契約は守らなければなりません。
このルールは、権限のあるものの自由意思に基づく契約についてはそのまま妥当します。
その反面、意思の不存在(欠缺)、制限行為能力、詐欺、強迫、無権代理などの場合は、そのままでは妥当せず、契約は無効であったり取り消すことができます。
その結果、契約は守らなくてもよいし、履行されても出ていった財産の返還を求め得ます。
これが取引の静的安全ですが、無制約的に無効や取消しを主張し得ることになると、相手方や第3者にとって酷なことがあり得ます。
そこで民法は、一定の場合には無効・取消しの主張を制限することで相手方なり第3者の保護を図っています。
これが取引の動的安全であり、取引の安全といえば、普通この動的安全を意味します。
資本制経済が発展するにつれてより強く動的安全を図るべきだという社会的要素が強くなり、判例は種々の解釈操作を通してこの要請にこたえるようになってきてきます。
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