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裁判上の自白 [さ行]






口頭弁論または弁論準備手続において、相手方の主張と一致する自分に不利益な事実の陳述のことです。

まず、口頭弁論または弁論準備手続においてなされることを要します。

これは、裁判上の自白が、裁判所および自白者を拘束するので、それだけに、直接性と明確性とが要求されるからです。

それ以外での自白、つまり、裁判外で相手方や第三者になされた自白は、裁判外の自白といわれるが、自白された事実の存在を推認させる間接事実であるにすぎません。

次に、自分に不利益な事実を認めることであるが、その不利益については、二つの考え方があります。

一つは、その事実が判決の基礎として採用されれば、全部または一部敗訴する可能性のあることを指すという考え方です。

もう一つは、相手方が立証責任を負担する事実を認めることです。

後者が通説・判例です。

両説の結論は大体一致するが、自分が立証責任を負う事実を自ら否定する場合に、自白となるかどうかの相違が生じます。

しかしこれは、自ら主張責任を負う事実について自ら主張していないも同じと考えられます。

また、裁判上の自白が成立するには、両当事者の陳述が一致することが必要です。

しかし一致すればよいのであるから、自白者が、まず、先に自分に不利益な事実を陳述し、その後で、相手方がそれを援用すれば、両当事者の陳述が一致していることから裁判上の自白が成立します。

相手方の援用がない間は、一致がないから、自白には至っていないが、これは先行自白といわれます。

この先行自白は、相手方が援用しなくても、訴訟資料になります。

そして、裁判上の自白としての効力が生ずる自白の対象は、主要事実に限られます。

間接事実や補助事実の自白は、ここでいう裁判上の自白に入りません。

また、法規の存否や解釈・適用に関する意見については、自白は問題になりません。

しかし、訴訟物たる権利の先決的関係にある権利または法律関係の存否に関する自白は、権利自白と呼ばれます。

この効力については説が分かれるが、多数説によれば、裁判所を拘束することはないが、裁判所はそれを利用することもできるし、また、反証のない限り、自白者の相手方はその権利または法律関係の存否をこれ以上根拠付ける必要を免れると解しています。

裁判上の自白の効力は、裁判所と自白者を拘束します。

いずれも、その拘束力は上級審に及びます。裁判所に対しては、そのまま裁判の基礎として採用しなければなりません。

裁判所がその事実の存否について、たとえ疑いを持ったとしても、証拠のよって自白に反する事実を認定をしてはなりません。

もっとも、職権探知事項に関しては、この効力はありません。

自白者に対しては、この自白の撤回が制限されます。撤回を自由に許せば、審理は混乱するし、相手方の信頼を裏切るだけでなく、不当に不利益を押し付けるおそれがあるからです。

そこで、次の場合に限って、自白の撤回が許されます。

①相手方の同意があるか、または、撤回について異議を述べない場合、

②刑事上罰すべき他人の行為により自白をした場合、

③自白が真実に合致せず、かつ錯誤に基づいてなされたことが証明された場合です。






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