種々の意味に用いられているが、もっとも普通には、判決手続の中核部分である審理手続としての意味に用いられます。
それは、あらかじめ定められた期日に、公開法定で当事者双方が対席して、裁判官の面前で直接的に、口頭により、弁論、証拠調べを行う手続です。
これに、判決の言渡しも含めて用いられることもあります。
もともと訴訟上の請求に対して本案判決をするには、必ず口頭弁論を行わなければならず、これには例外はありません。
この口頭弁論を必要的口頭弁論といいます。
そこでは、口頭によって陳述されたものだけが、判決の資料とされます。
また、訴え、上訴の適法性の審理のためにも、必要的口頭弁論がなされますが、多少の例外はあります。
このような審理のために口頭弁論が必要とされるのは、審理原則としての口頭主義、直接主義、公開主義の要請が最もよく実現し、それぞれの審理原則の長所を発揮できるからです。
また、短所もないわけではありませんが、必要的口頭弁論を原則としておいて、書面を活用することによって、その短所を補うこともできるので、採用されています。
また決定で完結すべき事件については、その審理を口頭弁論によって行うかどうかが、裁判所の裁量で決定されます。
そこで、これを任意的口頭弁論といいます。
もともと、この種の事件では、書面による審理が許されており、むしろ、その補充として、この口頭弁論が利用されるだけです。
したがって、ここでは、書面による審理の結果と任意的口頭弁論で現れた資料の両方が裁判の基礎とされます。
もっとも、裁判所は、書面による審理の補充としては、この任意的口頭弁論ではなくて、審尋という方式を利用することも許されています。
これは、当事者その他の利害関係人に無方式で裁判所に意見を陳述する機会を与える方法であって、やはり裁判所の裁量によって、これを利用すべきかどうかが決定されます。
また、新法では、決定事件でも、当事者の申立てがあれば、参考人や当事者本人を、証拠調べの方法として、審尋することができるようになっています。
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