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債権譲渡制度の改正の経緯 [さ行]






平成18年改正の経緯

債権譲渡制度は、企業の資金調達手段、流動化・証券化手段として着実に社会・経済に浸透して

いる制度ですが、実務上は、債権を担保目的または流動化・証券化目的で譲渡する手法について、

いくつか問題点が指摘されていました。


その中の一つが、「譲渡にかかる債権の債務者が必要的登記事項とされていたため、債務者が

特定していない将来債権を譲渡しても登記をすることができず、債務者が特定していない

将来債権を資金調達のために活用することが難しい」というものです。


そこで、今般、企業が有する資産を有効に活用し、更なる資金調達の円滑化・多様化を図るため、

債務者が特定していない将来債権の譲渡についても登記によって第三者に対する対抗要件を

備えることが可能となる改正がなされました。


主な改正点

1.債務者が特定していない債権の譲渡について、譲渡にかかる債権の債務者の氏名・商号等を
 
 必要的登記事項としないことし、債務者が特定していない将来債権の譲渡についても、

 登記をすることが可能とされたこと。


 これは、債務者が不特定であっても、債権の種別、債権発生原因、債権発生年月日などの

 債務者以外の要素によって譲渡債権を特定できるのであれば、実体上有効に債権譲渡が

 可能であるとの、要請が強くあったためです。



2.譲渡の対象に将来債権が含まれている場合には、譲渡にかかる債権の総額が

  登記事項から除かれたこと。


  これは将来債権の総額は見積額と成らざるを得ず、発生債権額との相違が生じることによる

  混乱を防止するためです。



3.債務者が特定していない将来債権を譲渡する場合には、債権譲渡登記の存続期間は、

  原則として10年を超えることができないこととされたこと


  これは債務者不特定の将来債権については、実務上想定される取引期間が通常は10年以内と

  考えられたためです。



4.登記情報の開示に関して、登記事項証明書の交付請求権者に、譲渡人の使用人が

  加えられたこと。

  
  もし企業が破産した場合には、譲渡にかかる動産や債権は破産財団に組み込まれず、

  使用人の労働債権に対する配当財源が減少することとなり、企業の資産担保・

  譲渡状況を把握することは、使用人にとって重要になるからです。


  なお、証明書の取得には、印鑑証明書の他に社員証や健康保険証等の原本提示が
  
  必要とされています。



5.債権譲渡登記がされるごとに登記事項の概要を商業登記簿その他の譲渡人の登記簿に

  記録する制度が廃止され、新たに債権譲渡登記事項概要ファイルを設け、

  だれでも当該ファイルに記録されている事項を証明した書面の交付を

  請求することができる制度が創設されたこと。


  これは、法人登記簿に債権譲渡の概要を記録することは、譲渡人の取引先などに対し

  信用不安をもたらす弊害があったためです。


今日のちょこ
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寒くなってきました。







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