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権利の濫用 [か行]






権利の濫用

民法の原則のひとつである"私的自治の原則"によって、私たちは原則として自由に法律行為を行うことができます。

しかし、他者とのかかわりがある以上、私権をまったく自由・無制限に行使できるとなると不都合が生じます。

そこで、民法第1条には"基本原則"として、私権の性質や私権を行使する際についての制限を明記しています。

第1条(基本原則)
1 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。


権利濫用の禁止とは
民法第1条3項にもあるとおり、権利をむやみに濫用してはいけないという考え方を「権利濫用の禁止」といいます。

権利を主張することが一見正当にみえることでも、社会的にみて許容できないような場合に、この法理が適用されます。

つまり「主張は間違ってはいないけど、それでは、道理が通らない」というような場合などに適用されます。


禁止される権利濫用か否かの基準

権利の濫用であるかどうかは具体的に判断するほかありません。

例えば、加害を目的でのみなされた権利行使は一般的に濫用とされます。

現実の裁判においては、権利の行使を認めた場合と認めない場合に生じる不利益や社会的影響を比較較量して判断されることが多いようです。

例えば、自己の土地の利用により近隣に迷惑が及ぶ場合には、土地利用の合理性、従来の経緯や慣行、迷惑の程度や受忍の可能性、影響回避の手段などを比較較量して、所有権の濫用であるかどうかが判断されることになります。(所有権は絶対的なものではない)

また、権利の濫用であるとされたときには、権利行使の効果が生じないばかりか、権利を行使した者は不法行為として損害賠償の責任を負うことになります。



権利濫用と信義則の関係

権利濫用の禁止と信義則は、「信義則に反し、権利の濫用として認められない」などと重複して判例の文言に現れることもある。適用範囲の明確な区別はできないが、信義則は契約関係にあるものに、権利濫用の禁止は契約関係にないもので問題となる。



権利濫用の禁止に関する判例

「宇奈月温泉事件(大判昭10.10.5)」
微々たる所有権の侵害について、「社会通念上所有権の目的に違背し、その機能として許されるべき範囲を超脱するものであって権利の濫用となる」と判示。


「「信玄公旗掛松事件(大判大8.3.3」
「権利の行使者が気通念上被害者が認容すべきものと一般的に認められる程度を超えたときは、権利行使の適当な範囲にあるものといえず、不法行為となる」と、権利濫用の効果を判示。

「土地所有権移転登記手続請求(最判昭51.5.25)」「所有権移転許可申請協力請求権につき消滅時効を援用することは、信義則に反し、権利の濫用として許されない」と判示。


今日のじじ
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