相続放棄ができない事例
Q 父が亡くなり、相続人3人のうち1人が遺産を取得する内容の遺産分割協議が成立した後に、父に借金があることがわかりました。
この場合、遺産を取得しなかった相続人は相続放棄できるでしょうか?
A 遺産を取得しなかった相続人も相続放棄をすることはできません。
遺産分割によって、遺産を取得しなかった相続人はちょっと可哀想な気もしますが、遺産分割も相続財産の全部又は一部を処分したときには単純承認をしたものとみなされます。(民法921条)。
遺産を取得しなかったからどうして?と思われるかもしれませんが、取得しなかった相続人は遺産を放棄したのではなく、自己の相続分を無償で譲渡したと考えるため単純承認をしたものとみなされるからです。
ほかに処分行為としてみなされるのが、預金の解約、債権の取立て、不動産・動産・その他の財産(債権・株式など)の譲渡などが相続財産の全部又は一部の処分にあたります。
そのため、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継することとなります(民法920条)。
また、一度した相続の承認は撤回することはできません(民法919条1項)。
もっとも、民法921条1項本文による単純承認の効果が生ずるためには、相続人が自己のために相続の開始した事実を知りまたは確実視しながら相続財産を処分したことが必要とされていますので(最高裁判決昭和42年4月27日)、相続の開始したことを知らずに本件名義変更をなされたのであれば、単純承認したことにはなりません。
同居猫のじじくんです。
この写真、ちょっと顔が怖いような・・・
コメント 0