刑事裁判権とは、ある犯人に対する犯罪事実を認定し、刑罰等の処分を科する権限のことです。
この権限は国家に属し、裁判所がこれを行使します。
刑事裁判権は日本国領土内に存するすべての人に及びます。
国籍は問いません。
例外として、外国の元首、外交使節およびその随員家族はいわゆる治外法権を有しているので刑事裁判権は及びません。
摂政はその在任中訴追されない(皇室典範二一条)とされています。
したがって天皇も訴追されないと解されています。
もっともこの点については天皇、摂政についても刑事裁判は及ぶのであるが、ただ訴追されないだけで証人などで勾引することはできるとの説もあります。
外国領土に対して刑事裁判権は及びません。
したがって外国にいる日本人に対しては国際司法共助により、犯罪人の引渡しを要求するよりほかにありません。
しかし現行犯罪人の引渡し条約が締結されているのはアメリカ合衆国および韓国との間だけです。
なお、日本に駐留するアメリカ軍については一定の犯罪についてアメリカ合衆国が日本に優先して刑事裁判権を有しています(日米安全保障条約六条に基づく施設的区域ならびに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定十七条)。
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