他人の不動産を奪い取る罪を不動産侵奪罪といいます。
不動産とは土地およびその定着物 (建物, 立木, etc) です。
この罪が昭和25年の刑法の一部改正によって設けられたのは、不動産の急激な高騰にもかかわらず、これについて窃盗罪を認め得るかを巡って学説・判例に対立があり、立法によって解決する必要があったことによります。
もし、建物をそのまま引きずり去ることができれば不動産窃盗といえるのでしょうが、建物を移動させないでそのまま奪取することが窃盗になるかどうかは問題であり、判例はこれを否定していました。
侵奪とは、他人の不動産を奪取することです。
他人の土地に無断で建物を建てたり、他人の建物に住み込んだりすると、この罪に問われます。
しかし、建物を賃借した者が、賃借期間が経過した後、引き続き、それを不法に占拠していても、これは奪取したとはいえませんので、この罪は問われません。
自分の不動産であっても、他人が正当な権原によって占有し、または、公務所の命によって、他人が看守しているものは、他人の不動産とみなされ、それについてもこの罪が成立します。
侵奪は、目的物の移動を伴いませんが、窃盗について説明したことは侵奪に当てはまります。
刑は10年以下の懲役に処せられ、未遂も罰せられます。
コメント 0