限定承認の税法での取扱い
限定承認の掛る清算としての法効果を反映して税法でも、通常の単純承認による相続と異なる制度としています。通常の相続・遺贈による相続財産の無償取得では、不動産の含み益が存在してもその経済的利益が実現していないとして譲渡所得税は課されず、相続不動産を譲渡した時にその実現があるとして譲渡所得税が課されます(課税の繰延)。
この場合譲渡価額から取得費用として被相続人の取得時期の取得価格(建物であれば減価償却累計額控除後の価額)・譲渡費用を除して譲渡益を算定します。
しかし、限定承認をした場合、それが相続財産で被相続人の債権を清算する制度のため、相続時点の時価(限定承認申述時ではなく譲渡と看做される相続時とするのが裁判例です)で被相続人から相続人への譲渡がなされ含み益である経済的利益が実現したものとみなして譲渡所得税が課されます。
この場合、通常の確定申告と異なり、相続が生じたことを知った時から4か月以内に準確定申告が必要です。
限定承認すべきかの判断
被相続人の所有期間が5年超の不動産であり相続して譲渡する予定の場合、限定承認して被相続人から相続人へのみなし譲渡所得(清算後の譲渡は短期譲渡となりますが譲渡所得はないことが前提)と単純承認して譲渡する場合いずれも長期譲渡所得の税率軽減の適用をうける点では同じになります。ただ、限定承認は制度として煩瑣というデメリットはあります。又、相続人全員で家裁に申述するのが原則ですが、家裁へ相続放棄の申述した者は除いてよいとするのが実務の扱いです。
なお、譲渡所得税は相続税課税価格算定のための債務額に加算されます。
今日のちょことじじ
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