クーリングオフと業務提供誘引販売取引に関する法律相談。
以前、次のような相談を受けたことがありました。
1.パソコンを購入すればホームページ製作の在宅ワークを紹介する。
2.資格講座を受講して合格すれば仕事をあっせんする。
3.商品を購入してモニターになれば報酬を支払う。
などのセールストークで勧誘を受けたことはありませんか?
このような勧誘の場合、業務提供誘引販売取引の可能性があります。
業務提供誘引販売取引とは?
業務誘引販売取引とは、いわゆる内職商法、モニター商法、資格商法と呼ばれるものです。
これらの取引で業者は「内職やモニター業務で収入が得られる」という勧誘文句で、パソコンや機械、着物、布団、教材などを販売しますが、実際に内職やモニターで得られる収入は僅かだったり、全くなかったりします。
結果的には消費者に高額な商品代金の支払いだけが残ることになるため、平成13年から特定商取引に関する法律で規制されており、クーリングオフの対象になっています。
特定商取引に関する法律51条1項が定義する業務提供誘引販売取引とは?
「業務提供誘引販売業」とは、物品の販売(斡旋を含む。)又は有償で行う役務の提供
(斡旋を含む。)の事業であつて、その販売の目的物たる物品(以下「商品」という。)
又はその提供される役務を利用する業務(その商品の販売若しくはその斡旋又は
その役務の提供若しくはその斡旋を行う者が自ら提供を行い、又は斡旋を行うものに限る。)に
従事することにより得られる利益(以下この章において「業務提供利益」という。)
を収受し得ることをもつて相手方を誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務
の対価の支払又は取引料の提供をいう。以下この章において同じ。)を
伴うその商品の販売若しくはそのあつせん又はその役務の提供
若しくはそのあつせんに係る取引
(その取引条件の変更を含む。以下「業務提供誘引販売取引」という。)をするものをいう。
業務提供誘引販売取引の要件を整理してみると
1.業務提供利益を収受できることにより顧客を誘引すること
2.特定負担をともなうこと
3.商品の販売・あっせんまたは役務の提供・あっせんに係る取引をすること
となります。
業務提供利益とは?
1の業務提供利益についてですが51条1項では「物品の販売・その斡旋又は有償で行う役務の提供・
斡旋の事業であつて、その販売の目的物たる商品又はその提供される役務を利用する業務
(業者が自ら提供を行い、又は斡旋を行うものに限る。)に従事することにより
得られる利益」と定義しています。
例
パソコンを使用しておこなうホームページ作成の在宅ワークの場合
■商品 → パソコン
■商品を利用する業務 → ホームページ作成の在宅ワーク
■業務提供利益 → ホームページ作成の在宅ワークの報酬
有料の講習で得た技術を利用しておこなうワープロ入力の在宅ワーク
販売の目的物である商品を利用しておこなう業務のことです。
例
■役務(サービス):ワープロ講習
■業務 → ワープロ入力の在宅ワーク
■業務提供利益 → ワープロ入力の在宅ワークの報酬
といった具合になります。
要する業者から販売される商品や提供される有償のサービス(研修や講習など)を利用して、業者
の仕事や業者があっせんした仕事をすることによって得られる利益が業務提供利益となります。
この業務提供利益を収受できることにより顧客を誘引することが1の要件となります。
特定負担とは?
2の特定負担とは「その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供」をいいます。
要するに顧客が負担するあらゆる金銭的負担が特定負担というわけです。
尚、登録料や入会金、保証金などは取引料であり、
これらも特定負担に該当します。2はこの特定負担をともなうことを要件としています。
今日のじじ
夏バテ気味です。
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