1.新株予約権の消滅
新株予約権者が、発行会社から付与された新株予約権を行使した場合、行使価額に定めた金銭等を払込する対価として、発行会社の株式を所定数取得します。
この場合、新株予約権者が行使した分の新株予約権は消滅します。
したがって、消滅した分の新株予約権変更登記と増加した株式数及び資本金額の変更登記をする必要があります。
但し、新株予約権の行使に伴う変更登記は、月末締めで行えば足ります(会社法915条3項)。
一方で、行使の場合以外にも、新株予約権者が、保有する新株予約権を行使することができなくなった場合には、当該新株予約権は消滅します(会社法287条)。
ストック・オプションのための新株予約権の場合、行使条件に役員や従業員の地位を有することを定めるのが一般的です。
そのため、役員及び従業員(以下「役員等」といいます。)が退任又は退職することによって、行使条件に該当しなくなった場合には、原則として、当該役員等が保有している新株予約権は消滅します。
もちろん、これに限らず、行使条件に記載した事項に該当しなくなった場合には、役員等が保有している新株予約権は消滅します。
そして、役員等が保有していた個数分の新株予約権及び交付予定分の株式数を減少する旨の新株予約権変更登記(以下「変更登記」といいます。)申請を行う必要があります。
なお、行使の場合と違い、退職日が登記原因年月日となりますので、退職日から2週間以内に変更登記申請する必要があります(会社法915条1項)。
したがって、退職日は従業員によって異なりますので、原則として従業員の退職の都度、変更登記申請することになります。
変更登記を申請する場合、1件につき3万円の登録免許税を納付する必要がありますので、会社の負担額も少なくないと思われます。
また、変更登記申請を怠ると、会社の代表取締役が100万円以下の過料の制裁を受ける可能性がありますので、ご注意ください(会社法976条1項1号)。
今日のちょことじじ
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