代理権に関する法律相談
今日は、権限の定めをしなかった場合の代理権の権限を紹介します。
権限の定めのない代理人の権限
任意代理というのは、本人の意思で代理権が与えられた場合を言うのですが、本人から代理権は与えられたが、代理権の範囲までは、はっきり定められなかった場合に、代理人はどこまで本人を代理していいのかという問題があります。
たとえば、本人から「しばらく旅行に行ってくるので、財産の管理を頼む。」と言われて代理権が授与された場合、代理人としては、何をどこまでやっていいのやら迷ってしまいます。
そういう場合に備えて、民法は、権限の定めのない代理人の権限というのを民法第103条に定めています。
103条(権限の定めのない代理人の権限)
権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
(1)保存行為
(2)代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
このような権限の定めのない代理人は、保存行為、利用行為、改良行為の3つを行うことができます。
保存行為(第1号)
これは、「財産の現状を維持する行為」を指します。
【具体例】
・家屋の修繕
・未登記不動産を登記
・消滅時効の中断
・期限到来の債務の弁済
利用行為(第2号)
これは「財産について性質を変えない範囲で収益をもたらす行為」を指します。
ただ、この利用行為は、財産の性質を変えるようなものは含まれません。
【具体例】
・現金を銀行預金にする(利子が付く)
・建物の管理を委任された者がその建物を賃貸する
【非該当例】
・現金や預金を株に変える(性質が変わる)
・銀行預金を個人への貸金とする(性質が変わる)
改良行為(第3号)
「財産の性質を変えない範囲で財産の価値を増加させる行為」を指します。
「利用行為」は、財産を使って「収益」を上げる行為であるのに対して、この「改良行為」は、その「財産自体の価値」を高める行為です。
ただ、これも財産の性質を変えない範囲に限られます。
【具体例】
・無利息消費貸借を利息付消費貸借に変更する
・家屋に造作を施す
・家屋に下水道を引く
【非該当例】
・田を宅地にする…たとえ宅地の方が値段が上がるような場合であっても性質が変わる
今日のちょこ
いやん
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