遺産分割協議が成立すると,各相続人は,相続開始時に遡って,遺産分割協議で合意された財産を取得します(民法909条)。したがって,不動産登記法63条2項により,単独で相続を原因とする移転登記手続を行うことができます。
この場合,本来であれば遺産分割協議書及び共同相続人の印鑑登録証明の添付によって手続可能です。しかし,印鑑登録証明が欠けている場合,遺産分割協議書が真正に成立したことを証することができず,移転登記手続ができません。
そのため,このような場合には,民事訴訟法134条の規定に基づき,印鑑登録証明の提出を拒んでいる共同相続人に対する遺産分割協議書真否確認の訴えを提起し,勝訴の確定判決を取得することが考えられます。この確定判決を印鑑証明の代わりに添付することで,移転登記手続を行うことが可能とされています。(参考:東京高判昭和56年11月16日判時1028号54頁)
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