競業避止義務
これは、取締役が自己または第三者のために会社の事業の部類に属する取引を行ってはならないという義務をいう。
例えば、製造業を営む会社の取締役が、同じく自らの名義で同じ製造業を行うことは許されません。
これは、取締役の行為により、会社の企業秘密やノウハウなどを自己のために利用してしまうことを防止する趣旨から設けられています。
取締役は、事業に関する技術やノウハウ、顧客情報等を把握して意思決定する立場にあるため、取締役が会社の事業と同じ業種の事業をするときには、会社の情報を利用する可能性が大きい。
会社の情報はその会社に帰属しており、取締役がそれを自身や第三者のために利用することはあってはならない。
そこで、取締役が競業取引を行うことに規制をかけ、競業取引を行う場合には、会社に承認されなければならないとされています。
なお、競業の範囲となるのは、「会社の事業の部類に属する取引」とされており、会社が行っているビジネスと実際に競合する取引をいいます。
これは、会社が取り扱っている事業を同じ地域で行うことにとどまらず、判例ではその商品の原材料を購入する取引であっても競業になるとされている。
取締役が同種の別会社の取締役等に就任することは、「取引」ではないため、それ自体は規制されない。しかし、競合会社の取締役等に就任した後に、当該競合会社のために競業取引を行う場合には、規制の対象になる。
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