事実に反する内容の登記を誤って申請してしまい、登記されてしまった場合、その状態を長期にわたって放置すると不測の損害が生じるおそれがありますので、速やかに是正することが大切です。
共有持分の割合を是正(訂正)するためには「所有権更正」の登記を申請する必要があります。
更正登記は、錯誤又は遺漏のため登記と実体関係の間に原始的な不一致がある場合に、その不一致を解消させるべく既存登記の内容の一部を訂正補充する目的をもってされる登記であり、所有権更正登記とは、所有権に関する登記内容(の一部)について、当初から実際の権利関係と一致しない点が存在するため、その登記を実体に合致するよう是正するために申請する登記です。
更正登記が認められるのは、登記事項の一部に誤りがある場合であり、登記事項の全部が誤りである場合には更正登記は許されず、当該登記は無効であるのため、抹消登記を申請しなければなりません。
また、更正登記が許されるのは、更正の前後を通じて登記としての「同一性」がある場合に限られます(最高裁平成12年1月27日判決参照)。
例えば、所有権の登記(所有権保存または移転登記)の場合、具体的には更正前の登記名義人と更正後の登記名義人とが全く別人となるような更正は、更正の限界を超え許されません。
登記をした時点で登記内容に誤りがあった場合に、その登記の同一性を維持しつつ是正するのが更正登記であり、更正の前後において当事者が全く異なるものになる場合には、更正登記の対象とは認められません。
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