本証とは、当事者の一方が、自ら立証責任を負担している事実を証明するために提出する証拠をいいます。この事実の存否については、裁判官に確信を抱かせる程度まで証明しなければならず、もし、その程度までに達しないときは、立証責任の負担によって、不利益に判断されます。
これに対して、反証とは、立証責任のない当事者が相手方当事者の立証責任を負う事実を否定する目的で、それと反対の事実を証明するために提出する証拠をいいます。
本証が目的を達するためには、要証事実について裁判官に確信を抱かせなければならないが、反証は、反対の事実について裁判官に確信を抱かせる必要はなく、本証による裁判官の心証形成を妨げまたは動揺させ、その事実について真偽不明の状態に持ち込む程度で、その目的を達することができます。
これによって相手方の本証による要証事実の証明は失敗し、立証責任の原則に従って、その相手方が不利益な判断を受ける結果になるからです。
本証・反証の区別は、その提出者の立証責任の有無によるのであって、原告・被告の地位によるものではありません。
例えば、抗弁を提出した被告はその抗弁事実について立証責任を負い、それを証明するため被告の提出する証拠は本証であり、この抗弁事実の立証を妨げるために、原告の提出する反対事実の証拠は反証です。
反証は本証と同時に、または事後になされます。
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