要件を記載した手形・小切手に振出人が署名しこれを発行する手形行為を振出しといいます。
統一手形用紙(小切手用紙)に要件を書き込んだもの(基本手形、基本小切手ともいう)に振出人が署名すると手形(小切手)が完成し、これを自分の意思で手放すことにより、振出しという手形行為が成立します。
振出人が署名しただけで振出しが成立すると解する説(創造説)も有力であるが、普通は、手形が発行されて署名という形の意思表示が発信されたときに振出しが成立すると解しています(発行説)。
振出しの効力が生ずるのは、相手方に手形(小切手)が手渡されて、意思表示が到達したときであるが、所持人が手形の所有権者(または質権者)である場合のみ振出しの効力を生ずるという説(所有権説)もあります。
振出しの効力としては、振出人は支払人が引受を拒絶したり、支払いを拒絶したりした場合に、二次的な担保責任者として手形金を償還する義務を負います。
ただ、「引受があるかどうかは請けあわない」(「引受無担保」)という言葉を記載すると、引受のない場合の担保責任は免れることができます。
しかし「支払いがあるかどうかは請けあわない」(「支払無担保」)という言葉を書いても、支払いのない場合は、必ず償還の義務を負わなければなりません。
そこでただ「無担保」と書いてある場合には「引受だけは請けあわない」という意味になります。
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