動産とは、不動産以外のものをいいます。
建設中の建物は動産から不動産への進行過程であり、また、取り壊し中の建物は、その逆の過程をたどるわけですが、このような場合、動産・不動産を識別することは困難です。
抽象的にいえば、建設の用途に応じた使用ができるような状態にあるかどうかが識別の基準となります。
動産の個数は社会通念によります。
米・みそ・醤油・炭などは容器により個数が決まります。
ところで、動産と不動産とではいろいろな点で、法律上取り扱いが違いますが、最も重要な相違点は、物権の公示方法ないしその効力にあります。
不動産物権の公示方法は登記であり、売買により不動産所有権を得ても、登記をしておかないと、第三者にその権利取得を主張することができません。
また、登記を信頼して不動産を買い、所有権移転登記を済ませても、売主にその処分権がなければ、所有者の請求に基づき、売買はせっかく経由した所有権移転登記を抹消しなければなりません(このことを「登記には公信力がない」といいます)。
これに対し、動産物権の公示方法は占有です。
取引により動産所有権を得た人が、その権利を第三者に主張するためには、占有の移転を受ける必要があります。
また、たとえ売主に処分権がなくとも、動産を善意(売主のものでないことを知らない)で買い受けて占有の移転を受ければ、買主はその動産の所有権を取得します。
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