取消権者は、取り消し得る行為につき、取り消してはじめから無効にするか、それとも、取消権を放棄して確定的に有効なものとするのかの選択権を有します。
後の道を選び、その旨の意思表示をするのが取り消すことができる行為の追認です。
取消権者のうち、制限行為能力者は行為能力者になった後で、詐欺・強迫により意思表示をしたものはその状態から脱した後で追認すべきで、これに反し、取消しの原因となった情況がやまないうちにした追認は、瑕疵を帯びることになります。
瑕疵ある追認は取り消し得るのではなく無効です。
また取り消すことができる行為の存在を知らなければ追認できませんが、民法は、念のため、成年被後見人についてのみこのことを規定しています。
追認により、取り消し得る行為は、はじめから有効となりますが、第3者の権利を害することはできません。
しかし、取り消し得る行為の追認は、不確定的に有効だったものを確定的に有効にするだけであり、第3者との関係は、対抗要件に関する諸規定により決まるから、同条適用の余地はないと解されています。
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