為替手形の支払人あるいは約束手形の振出人の住所以外の場所(支払場所)で支払われること(第三者方払文句)を記載した手形です。
手形に支払場所を記載することは、要件ではないが、特に支払場所を記載すると、そこが支払呈示をすべき場所になります。
支払場所を指定する理由は、1つには支払人の営業所(または住所)が支払地内にない場合(他地払いの手形)に、支払地内の支払場所(例えば支払地の何町何番地同某方)で支払いをすることを明らかにする場合があります。
しかし、現在、支払場所を指定する主な理由は、同地払いの手形であっても、当座取引のある銀行店舗を支払場所として指定し、その銀行を支払担当者に指定して、支払決済を手形交換の手続にのせ、安全かつ便利に支払いを済ませることにあります。
第三者方払文句の記載は、振出人が、振出しに当たって記載できるが、為替手形では、振出人が記載しなかった場合には、支払人が引受に当たって記載できます。
支払場所または支払担当者は、これを指定するときに、支払地内に現存する場所または店舗でなければならないとするのが原則です。
単なる場所指定の場合は、その後その場所の状況が変わってもやはりその地点で支払人自身に支払呈示をせねばならないが、銀行を支払担当者として指定した場合には、要するにその銀行に支払いを委託したという人的要素が中心であり、店舗の所在場所にかかわらず当該銀行へ交換呈示をします。
かつては、指定店舗が廃店・移転した場合、支払地内に該当店舗がない場合、支払地外の実在店舗を指定してある場合、などの呈示場所が議論されたことがあったが、統一手形用紙の採用により、銀行店舗に支払いを委託するには、あらかじめその銀行名が支払場所として印刷された統一用紙の交付を受けなければならないこととなったので、右のような解釈問題を生ずる余地がなくなりました。
手形の支払場所の記載は、支払呈示期間中における支払決済を委託するものであり、したがって、同期間が経過した後は失効し、手形は、振出人の営業所または住所に請求呈示すべきこととなります。
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