所有権とは、法令の制限内において物を自由に使用・収益・処分することのできる権利で、私法上最も主要な物権となっています。
「使用」とは、物を損壊せずに自己のために供することをいい、「収益」とは、物の天然または法定の果実を収得すること、そして「処分」とは、物の物理的形状を変更すること(物理的処分)及び権利を譲渡若しくは放棄すること(法律的処分)をいいます。
ただ、所有権は、これらの権能の単なる集合体ではなく、これらの権能を含めてあらゆる支配権能が渾然一体となってその内容をなしています。
なお、土地所有権は原則としてその地上及び地下に及びます。
所有権は、私有財産制度を礎(いしずえ)とする資本主義社会の下で最も基本的な権利であり、それゆえに憲法で保障され、民法や刑法その他の法律によって侵害から保護されています。
所有者は、原則として自己の自由な意思によって所有権を行使でき、これにつき何人の干渉も受けないとする「所有権の自由」が保障され、近代民法の基本原理の一つとされておりますが、現代において、その自由は土地所有権やほか多数の法令によって大幅に制限されており、また判例上も、公共の福祉や権利の濫用などの一般条項による制約が課されています。
所有権は、売買などの契約によって取得されるほか、相続、取得時効、無主物先占、遺失物拾得、添付などによって取得されます。
コメント 0