所有者は、所有物の支配に関して自己の意思に反して何人の干渉も受けないのが原則です。
しかし、土地は相互に連続して連接しあうので、ある土地の利用の仕方は隣接地の利用に重大な影響を与えるし、またある土地を充分に利用しようとすれば、一定限度で隣接地を利用せざるを得ない場合が生じます。
そこで、民法では、隣接しあう土地(建物)相互の利用を調整し、それぞれの所有権の機能を最大限に発揮させるものといたしました。
これを「相隣関係」と称します。
民法が相隣関係として規定しているものは、以下の5件です。
①隣地の使用に関するもの
例:隣地使用権、囲繞地(いにょうち)通行権
②排水・流水に関するもの
例:排水権、流水利用権
③境界に関するもの
例:境界標設置権、囲障設置権、境界線上の工作物の共有
④竹木切除に関するもの
⑤境界線付近での工作物築造に関するもの
例:距離の制限、目隠し設置義務
ただし、これらはあくまでも任意規定であり、また慣習があれば原則としてそれに従うことになります。
なお、上記の諸規定は地上権者にも準用されるし、また判例では、永小作権者、土地賃借権者などの不動産利用権者にも準用されると解されています。
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