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先取特権 [さ行]






法律で決められたある種の債権は、債務者の財産から他の債権者を排除して優先的に弁済を受けることが可能で、この権利を先取特権といいます。

雇人の給与が未払いになっている場合に、雇主の総財産が大勢の債務者によって処分されることになると、数万円にすぎない給料債権しか持っていない雇人は、数千万円の債権者の中に入って、按分あんぶん比例でごくわずかな金銭しか取得できないことになります(債権者平等の原則)。

それでは雇人に気の毒なので、我が国の民法では、この場合には雇人に先取特権を認めて、雇人はまず自分の給与だけは先に取得できるようにしています。

民法が先取特権を認めるのは、上記の例のように社会政策的な考慮に基づくもののほか、当事者間の公平を図る趣旨のもの(例えば一人の債権者が債務者の財産のその費用についての先取特権など)、当事者間の意思を推測して設けられるもの(例えば地主や家主は借主がその不動産に備え付けた農具や家具などから優先的に賃料を取り立てる権利を有する、など)があり、その目的は一様ではありません。

先取特権には、債務者の財産の全部から優先的に弁済を受けられる一般先取特権と、債務者の一定の財産について優先弁済を受ける権利しか有しない特別先取特権があり、後者は更にその一定の財産が動産であるか不動産であるかによって、動産先取特権と不動産先取特権とに分けられます。

このうち、不動産先取特権は厳格な公示に従い、登記をしなければ効力を生じないし、また登記をすればその不動産が第三者に譲渡されても権利を主張することができます。

これに対し、一般先取特権と動産先取特権とは、登記・引渡しなどの公示方法を備えてなくても、先取特権を行使できることになっている一方で、その目的物が債務者の手中を離れると、もはや効力を失ってしまいます。

その点で、一般先取特権と動産先取特権は、物権としての性質が弱いといって良いかもしれません。






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