法律行為の趣旨を確定するに当たり、参考資料となる業界や各地の習慣を、事実たる慣習といいます。
むろん公序良俗に反する慣習は参考にならないし、たとえそうでなくても、その慣習が、任意法規の定めるところと同じならば、資料としての価値がありません。
したがって、任意法規と異なるか、もしくは何らかの規定がない場合にのみ、慣習は資料としての価値を持つことになります。
このような場合であっても、法律行為の当事者が、諸般の事情からみて、慣習に従う意思を持っていなかったと認められる場合には、その慣習を参考資料とすることはできません。
すなわち、民法は、当事者の意思表示が慣習や任意法規以上の拘束力を持つことを、また、慣習が任意法規以上の拘束力を持つことを、承認しているわけです。
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