物の用い方からみると、別個の物相互の間に、主従の関係がある場合は少なくありません。
かばんと鍵、刀とさや、家具と畳建具、母屋と離れ、などがその例です。
このように、ある物に他の物が付属してその常用に供され、かつ、双方ともに同一人の所有に属するとき、その「ある物」を主物、「他の物」を従物といいます。
主物と従物を区分する実益は従物が主物の処分に従う点にあります。
したがって、家屋について売買があり、あるいは、抵当権が設定されると、その家屋内にある畳や建具にも効力が及ぶことになります。
もっとも、この規定は通常の場合を予定して作られているのであるから、当事者が主物の処分に当たり特に従物の処分を保留することを妨げるものではありません。
判例は1歩を進め、権利相互に主従の関係がある場合にも、主物・従物と同じに扱うことを認めています。
元本債権と利息債権、建物とその建物とその建物のための借地権、などがその例です。
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