民法第311条 動産の先取特権
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する。
一 不動産の賃貸借
二 旅館の宿泊
三 旅客又は荷物の運輸
四 動産の保存
五 動産の売買
六 種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
七 農業の労務
八 工業の労務
解説
一般先取特権の場合には、債務者の総財産の上に先取特権が成立するのに対し、動産の先取特権については、特定の動産の上についてしか成立しません。
例えば、不動産の賃料債権(1号)の場合、賃借人が借りている部屋の中で所持している貴金属、家具・家電などの動産が「特定の動産」で、その競売代金から優先的に債権者は弁済を受けられます。
旅館の宿泊(2号)の場合、宿泊している部屋にある債務者の持ち物が、動産の売買代金なら(8号)、売主である債権者が、買主である債務者に実際に売った動産それ自体(今は買主所有の動産)が、「特定の動産」です。
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