当事者その他の訴訟関係人に対して訴訟に関する書類の内容を知らせるために、法定の形式に従ってその書類を交付する裁判機関の行為のことです。
これまでは、書類の内容を知らせるためには、送達の方式だけでしたが、そのうちから、新法では、「送付」、「直送」という簡易な伝達方式によることを認めました。
選別の基準は、伝達される書類がその到達によって訴訟上の重大な効果を生ずるかどうかであります。
例えば、訴状、上訴状、独立参加の申出、判決書などです。
ところが、訴訟告知は、それを受けるべき者に対しては告知書を送達しますが、相手方当事者には、その告知書の「送付」をするだけにとどめることになりました。
これまでは、送達によることが定められていましたが、この伝達は被告知者に参加があり得ることを知らせるだけで、訴訟告知の効力には、なんの関係もないからです。
また、準備書面も、旧法では裁判所に提出されたものを、相手方に送達されていましたが、新法では当事者の一方が相手方に「直送」し、相手方は、それを受領したことの書面を返事として「直送」し、さらに、裁判所にもその受領書を提出することになります。
この「送付」または「直送」は、ファクシミリを利用することができます。
そして、相手方が口頭弁論期日に欠席しても、準備書面を直送した当事者の一方は、その受領書を提出すれば、準備書面の記載内容を陳述することができます。
もっとも、相手方から受領書の直送を受けられないこともあるので、その場合には、送達を申し出ることもできるとされています。
いずれにしても、送達を受ける者に書類の内容を確実に知らせることを目的とするから、特別の定めがある場合を除き、その書類の謄本または福本を、交付することが原則です。
新法では、裁判所書記官の送達の権限を拡大する一方で、送達の困難な状況を解消するために、送達場所の届出制度を新設しました。
これは当事者、法定代理人、訴訟代理人に送達場所を届け出る義務を課し、その場所に送達しますが、届け出がない場合のために、1回目の送達と2回目の送達の場合を分けて、送達すべき場所を具体的に想定しています。
交付送達が実現できるように、出会送達、さらに補充送達が定められ、それでも送達ができない場合のために、書留郵便に付する送達が規定されています。
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