表意者に認識の誤り(錯誤)があるため、真意と異なることに気が付かないでした意思表示を、錯誤による意思表示または単に錯誤といいます。
錯誤は、意思表示の過程に即し、次のように分類されていますが、錯誤による意思表示が無効になるのは、法律行為の要素に錯誤があった場合に限ります。
①動機の錯誤-近くに鉄道が敷設されるものと誤信し、値上がりを期待して土地を買うような場合です。
②表示上の錯誤-100と書くべきところうっかり1000と書くといった場合のような誤記・言い間違いのたぐいです。
③内容の錯誤-保証債務と連帯債務を同じだと誤信し、連帯債務者になることを承諾し、フランならフランスフランとスイスフランを同価値と誤信し、1000スイスフランで買うことを承諾するといったように表示行為の意味を誤る場合です。
④仲介者の錯誤-電報による意思表示で、電信技師の過ちにより表意者が述べたところと異なることが相手方に伝えられるといったように、本人の意思と仲介者の表示が異なるときは、表示上の錯誤に準じます。
これに対し、意思表示を手紙でしたところ、違う人に届けられたりして、相手方に届かなければ、その意思表示は効力を生じません。
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