系譜、祭具、墳墓などの所有権のことです。
これは、特別財産として取り扱われ、相続によらない特別の承継が行われます。
祖先の祭祀のために供される祭祀財産については、昭和22年の民法改正前においては、家督相続の対象として、家督相続人によって相続されていました。
その意味で、いわゆる「家」の承継の象徴であり、祖名相続とか家名相続と不可分に結合するものだったといえます。
現行民法は、周知のように、「家」制度を廃止するとともに、家督相続制度をも廃止し、近代的な財産相続一本となりました。
したがって、現行法の主流的イデオロギーは諸子均分相続制の上に立つ、近代的小家族主義です。
もし、この近代的小家族主義を徹底すれば、「家」とか「祖名」という前近代的家族制度イデオロギーを承継すべき実体は消滅すべきはずです。
ところが、現行法も、新旧イデオロギーのいわば妥協として,祭祀財産を慣習に従い祭祀主宰者が承継することを認めました。
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