裁判における事実の認定を、裁判官が審理に現れたすべての資料・状況に基づいて自由な判断によって形成する心証にゆだねる建前をいいます。
自由心証主義は法定証拠主義の限界をのりこえるために登場した原則であり、証拠方法を制限せず、証拠力も法定せず、いずれも裁判官の自由な評価にゆだねることを内容とします。
この主義の下で、裁判所は証拠調べの結果と口頭弁論の全趣旨(口頭弁論に現れた証拠資料以外の一切の資料)を心証形成のために用いることができます。
この場合、証拠調べの結果と口頭弁論の全趣旨は全く同価値であり、ある事実について証拠調べの結果からは真偽不明であったとしても、弁論の全趣旨からその事実について心証を形成できるのであれば、それで心証を形成することが許される。
その場合、判決理由でその内容を具体的に説示することも要しないというのが判例です。
自由心証主義の下では、裁判所は一方の当事者が提出した証拠を他方の当事者に有利に用いることも許されるが(証拠共通の原則)、これは弁論主義との抵触を生ずるものではありません。
弁論主義は自由心証主義の始まるところに終わります。
証拠共通の原則が認められる結果、いったん証拠調べが開始された後は、当事者は相手方の同意を得なければ自ら提出した証拠を撤回できないこととなります。
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