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捜査 [さ行]






犯罪が発生したとき、あるいは発生したと思われる事情があるとき、これを刑事事件として取り上げるのは、犯人を発見し身柄を確保し、また証拠を収集して確保する必要があります。

この手続が捜査であり、大部分は公判の前に行われます(公判が始まってから行われる捜査もないわけではないが、捜査機関による被告人の取調べについては、被告人が訴訟の当事者であるということから、これを否定する学説が多いです。最決昭和36・1・21は肯定的に判示するが、なるべく避けるべきであるとしています)。

捜査は、法治国家の建前、特に人権尊重の観点からみて、厳格に法的規制の下で行われるべできであり、その意味で、刑事訴訟手続の一環に組み込まれているのです。

しかし、実際には、その性質上、実務的・合目的的要求に引きずられやすく、法的・手続的要請と矛盾しがちです。

このような問題を理論的に解明するため、もともと公判の構造を分析するときに論じられた職権主義と当事者主義の対立ということ(別項参照)を、捜査についても反映させ(捜査の構造論)、糺問的捜査観と弾劾的捜査観の対立、より端的にいえば(積極的)真実発見かデュー・プロセス(適正手続→憲法31条)か、ということが論じられています。

糺問的捜査観によれば、捜査は捜査機関が被疑者を取り調べる手段であり、捜査の主体は捜査機関ということになるが、弾劾的捜査観では、捜査は一方的当事者たる捜査機関の公判の準備期間にすぎず、強制捜査の主体は裁判官ということになります(なお、この立場に立ちつつ、捜査を公判の準備ではなく、被疑者の嫌疑の有無を明らかにし、起訴・不起訴のいずれかを決定するものとする主張もあります)。

捜査手続を行うもの(捜査機関)は、第1次的には司法警察職員であり、第2次的には検察官・検察事務官です。両者の関係は相互協力にあります。

このことは、一方で捜査目的をより能率的に達成するため、司法警察の持つ統一的活動力、科学的捜査技術ないし設備にきたいし、捜査官には裁判における訴追機関としての役割をより重視させるということであるし、地方では、司法警察が同時に行政警察としての活動も行うところから、そこに一定のチェック、特に行政的圧力の排除を考えなければならぬ点で検察官に補正させるということです。

捜査には、内偵、聞込み、尾行、実況見分、承諾を得た捜査や立入り、被疑者や参考人の出頭および取調べ鑑定や通訳の依頼、任意領置、公務所などへの照会、警察官などの職務質問、変死体の検視、電気通信の傍受などがあります。

現行刑事訴訟法では、捜査の方法は強制手段によらないのが原則です(任意捜査)。

強制的に行われるのは例外であって、時に法律が定める場合でないとできません。

任意捜査は、その限界について問題になることが多いです。

例えば取り調べは、むしろ強制捜査とみるほうが実情に即してるといえます。

捜査は司法警察職員が犯罪があると思ったとき、検察官が必要と認めたときに始められるが、そのきっかけになる事柄として最も一般的なものは被害者ないし第三者による届け出であるが、そのほか取調べ、告訴、告発、自首、検視、現行犯、職務質問などを法律が掲げています。

しかし、これらに限られるわけではなく、これがあれば捜査が始まるというわけでもないです。

捜査はいったん始められれば必ず起訴するかしないかを決めなければならず、公訴提起か不起訴処分のどちらかに決め得るのは検察官だけです。

したがって司法警察職員は、捜査の結果の一切を検察官に送るのが原則です。

上記のような捜査手続について、理論的には、その基本的な構造をどう考えるかという問題(先に触れた、デュー・プロレスか真実発見か、という問題)があり、弾劾的捜査観または糺問的捜査観のいずれを基礎とするかにより解釈の相違が生じてきます(被疑者の取調べ、接見交通権、令状の性質などについて)。

そして、実際的には、いわゆる科学的捜査の発達促進と人権保障をどう調和させるかという問題が根底に横たわり、強制捜査と任意捜査の境界や間隙(盗聴、写真撮影、麻酔分析等)、任意捜査の要件や限界などが問題となります。






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