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善意取得 [さ行]






証券の外観上、裏書連続のある手形を譲渡人の無権利や譲渡行為の瑕疵について善意無重過失で手形小切手を譲り受けた人を、権利者として保護する制度です。


民法の動産の即時取得の制度では、元の占有者が他人を信頼して動産の占有を与えた場合に限り善意の転得者を保護することとなっており、動産を盗まれたり、なくしたりした場合は善意の第三者も保護されません。


しかし、手形取引では、いちいち、盗難・遺失の証券でないかどうかを確かめないと安心して取引できないのでは、その流通機能を確保できません。


そこで、手形・小切手については、盗まれたり、なくしたりした場合も含めて、旧所持人が占有を失った「事由の何たるを問わず」、現在の所持人が、裏書連続ある手形を所持してこれにより権利を証明するときは、譲渡人が無権利者であったり、権利者であっても譲渡行為に瑕疵があったりした場合も、善意で重過失なく手形を取得した以上は、手形を返還することを要しないこととしています。


現在の所持人が、手形を取得する時に、譲渡人の無権利者であることを知っていたり(悪意)、相当の注意をすれば、それがわかったにちがいないと認められるような場合(重過失)には、むしろ、元の所持人を権利者として保護すべきであるので、善意取得の適用はありません。


そこで、権利者としての資格のある人(裏書連続ある手形の所持人)は、自分が権利者であることをいちいち立証しないでも手形で請求できるが、請求された手形債務者や証券を失った旧所持人の方で、所持人の悪意または重過失を立証できれば、所持人の請求を拒み、あるいは証券の返還を請求することができます。


直接の譲渡人より前者に無権利者がいた事実について悪意で取得したことがわかっても、直接の譲渡人の無権利または譲渡行為の瑕疵についての悪意重過失が立証できなければ証券の返還を求められないし、手形を取得した後に悪意となっても、手形取得の時における悪意重過失が立証できなければ同様に返還を請求できません。


善意取得の保護は、手形法で決められた方法(裏書や手渡しの方法)で手形を譲り受けたり、質にとったり、また償還や参加支払いをして手形を受け戻したりした場合にだけ適用があり、取立てのための裏書を受けた場合には適用がありません。


また、振出しの署名をして受取人に手渡す前に証券をなくしたり、盗まれたりした場合、これを転得した善意の第三者についても善意取得に保護があります。


手形法に決められた以外の民事的な方法(例えば、相続・会社合併・競売など)で手形を取得した者は、証券の記載を信頼して手形を取得するわけではないので、善意取得の保護はありません。






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