複数の人が一個の物の上の所有権を、分量的に分割して有することをいいます。
例えば、Aさん、Bさん、Cさんの3名が甲地を共同で購入したときは、甲地は3人の共有となり、各人は、甲地上にそれぞれ分量的に制限された権利を有します。
一般的に、2人以上の者が1個の物を共同で所有することを「共同所有」といい、総有・合有・共有の3つの形態がありますが、民法では、共有についてのみ規定しており、共同所有が問題となる場合をすべて「共有」という語で表現しています。
しかし、これらをすべて文字通り「共有」だと扱ってもよいかは見解の対立があります。
共有の重要な特徴は、
①共有者間に団体的な結合関係がないか、若しくはあっても極めて弱い。
②各人の持分権は、一般の所有権と同じ性格を持ち、原則として自由に処分できる。
③共有物の分割も原則として自由である。
などの点があります。
各共有者は、別段の合意がない限り、目的物の全部につき使用・収益する権利を有します。
自己の有する分量的な割合(持分または持分率といいます)だけに限られません。
なお、持分は平等なものと推定されます。
共有物についての保存行為は各自単独でできますが、それ以外の管理に関する事柄(共有物の利用方法など)は、共有者の持分の価格に従って過半数で決めなければならず、また、共有物に物理的な変更を加え、あるいはこれをほかに処分するには全員の同意が必要となります。
管理に必要な費用または公租公課などは持分の割合に応じて各自負担し、もしこれを1年以内に履行しない者がいれば、その持分を買い取ることもできます。
共有物の使用または収益を妨害する者がいれば、共有者は各自自己の持分権に基づいて単独で妨害を排除することができます。
共有者は、5年の範囲で分割しない合意(不分割特約)をすることができますが、それがないときは、原則としていつでも共有物の分割を請求することができます。
分割には全員の協議が必要であり(協議分割)、協議が調えば、現物をそのまま物理的に分割すること(現実分割)も、一人が全部を取得し、ほかに価格を支払うこと(価格賠償)も、全部売却して代金を分割すること(代金分割)も自由にできます。
この協議が調わなければ、裁判所に分割を請求します(裁判分割)。
裁判所は原則として現物分割を行なうべきでありますが、それが不可能ないし妥当でない場合は、競売して代金を分配します。
コメント 0