相続人中に、被相続人の家業である農家や自家営業に従事してその事業に協力するなどの方法により、その財産の維持または増加に特別の寄与をしていながら、これに対する相当の対価を得ない人(これを寄与相続人といいます)がある場合において、寄与相続人と他の相続人との間に衡平を実現するために、寄与相続人に対し、遺産の分割にあたり、寄与の方法や程度などその事情に応じて与えられる相当額の財産のことです。
昭和55年の民法・相続法の改正によって認められました。
寄与分の権利は相続人だけに認められます。
相続人以外の人が遺産に寄与するということもありますが、これらの人にも寄与分の権利を認めること、理論的にも問題があるばかりでなく、家庭裁判所の遺産分割手続のなかでその考慮を行うとすると、多くの遺産分割手続が非常に手間ひまかかって遅延し、その負担が重くなっている理由から、特別考慮の法的枠から外されました。
この措置については批判があるところですが寄与貢献のある被相続人は事前に契約(生前贈与など)などの方法で自分の権利を守るようにするほかはありません。
寄与分はまず相続人間の協議で、協議の調わない場合は審判によって定まり、寄与相続人の相続分を増加させる方法で実現します。
すなわち、被相続人が相続開始の時において有した財産の価格から協議または裁判で決まった寄与分を控除したものを相続財産とみなし、900条から902条までの規定によって算定した相続分に寄与分を加えた額をもって寄与相続人の相続分とすることにしました。
寄与分を定めるについて、いくら以上は認められないという上限はありません。
寄付貢献が大きければいくらでもいいわけですが、ただ被相続人が相続開始の時において有した財産の価格から遺贈の価格を控除した額を超えることはできないことになっています。
コメント 0