質権や抵当権は、もし債務者が期限内に完済しない場合には、質物や抵当物件を競売にかけて、その売得金から優先的に弁済を受ける権利です。
つまり、優先弁済権が質権や抵当権の究極的内容になります。
そして、優先弁済権の対象は競売による売得金であり、競売による売得金は、質物や抵当物件の交換価値が現実化したものです。
したがって、質権や抵当権は物の交換価値を把握(支配)する権利であるといえます。
そこで、質権や抵当権を価値権という権利類型として捉とらえることがあります(特に抵当権の価値権化が議論されています)。
転質、転抵当および抵当権やその順位の譲渡や放棄を認めることは価値権に即応しているといえますが、他方で、弁済によって質権や抵当権が消滅したり、(債権に対する附従性)、抵当権の順位が上昇する我が国の民法上では、まだ独立した価値権として構成されてはいないといえます。
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