近時、消費保護者が大きな問題となっていますが、例えば、消費者被害にみられるように、個々の損害額は少額であるが、共通の原因による被害が大量に発生するために、総体的にはその損害額が莫大なものになる場合があります。
このような場合に、その少額多数の被害者の中から一人または数名の代表者が名乗り出て、被害者総員の損害賠償請求を一括して訴えることのできる制度がクラス・アクションです。
アメリカ合衆国で発達した手続であり、わが国でも立法論としてその導入が提唱されています。
現行法のもとでかかる場合に対処する方法としては、例えば選定当事者の制度がありますが、これは個々の被害者からの授権があって、はじめて授権者の利益・権利について当事者として訴訟を追行できるものであって、少額大量被害の損害賠償請求についての紛争を処理する手段としては必ずしも十分とはいえません。
この点、クラス・アクションは、かかる授権を要せず、被害者の群の中から名乗り出た代表者がそのクラス全体の利益を適切に代表する者と認められれば、そのクラスに属する総員の賠償請求全体について一括して訴えを提起することができるのであり、さらに、クラス・アクションの通知を受けた被害者は、特にそのクラスから除外を申し出ない限り、当然にその訴訟手続に組み入れられ、その代表当事者の受けた判決にも拘束されることになります。
少額大量被害の被害者を救済するための手続法理として非常に興味深いものがありますが、直接訴訟に関与しない被害者の手続の保障をどのようにすべきかなど、検討を要する点も多い制度です。
コメント 0