近代国家は、いかなるものを犯罪とし、またそれにいかなる刑罰を科すかにつき、必ずあらかじめ法律をもって規定しています。(罪刑法定主義)
現実に、果たして犯罪があったかどうかあるいはその犯罪をどう処罰しなければならないかは、公平な裁判所の裁判をまたなければならないし、また公平な裁判所の裁判を経た後に、はじめて処罰すべきです。
この刑事裁判の手続を刑事訴訟といい、刑事訴訟手続をどう定めるかは刑事訴訟法および最高裁判所の刑事訴訟規則が規定しています。
刑事裁判においては、犯罪があった場合には必ず犯人を発見して処罰しなければならないという要求(実体的真実発見主義)と嫌疑を受けて裁判にかけられた者であってもその人権を十分に保障しなければならないという要求とが、相対立する利害として絡み合っています。
その利害をどのように調和するかは、それぞれ歴史的な背景によってさまざまな現れ方をします。
ただ、現行の刑事訴訟法は英米法の強い影響を受けて成立したためと戦前の人権軽視を悲しむべき苦い経験とから、人権保障に大きな比重がかけられているといってよいです。
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